アニメ「SSSS.GRIDMAN」の全話を踏まえて内容の解説です。
ネタバレも含みますのでご了承ください。
「SSSS.GRIDMAN」ネタばれ
アニメ「SSSS.GRIDMAN」の全体のストーリーは以下のような感じです。
異次元空間「ハイパーワールド」から逃亡していた悪者「アレクシス・ケリヴ」
彼は新条アカネの心の隙につけこみ、自分にとって都合のよい居場所を作ろうと企んでいた。
新条アカネは現実逃避の気持ちから、アレクシスの力を借りて仮想世界であるコンピュータワールドに自分の都合のよい世界を作る。
コンピュータワールドでも偶然の出来事まではアカネはコントロールできないが、そのつど怪獣の力を使うことで自分の思ったような世界に軌道修正し、仮想世界の中でアカネは過ごしていた。
アレクシスを追ってきたハイパーワールドの正義の味方であるハイパーエージェント「グリッドマン」。
アレクシスを追う過程の中でトラブルが生じ、コンピュータワールドに潜入する頃には不完全な状態になり記憶も曖昧になってしまった。
グリッドマンはコンピュータワールドの住人である「響裕太」に乗り移る。
それに伴い裕太の本来の人格は眠ってしまい、乗り移ったグリッドマン自身も記憶喪失の関係から自分を裕太だと思いこんでしまう。
裕太のクラスメイトでありリサイクルショップの娘である宝多六花。
彼女の店にある中古のパソコン「ジャンク」を使って(グリッドマンが乗り移った)裕太とグリッドマンは対話し、記憶は不完全であるものの自分の使命は再確認する。
グリッドマンは裕太とそのクラスメイトである六花と内海、アシストウェポンである新世紀中学生と共にアカネとアレクシスが生み出す怪獣から街を守っていく。
最終的にアレクシスを倒すことに成功。
アカネは改心し現実世界に戻ることを決意する。
アカネの作った世界の住人である六花は仮想世界の存在でしかなく、友達であるアカネが別の世界に行ってしまうことに寂しさはあるものの、アカネが本来の世界でうまくやっていけることを願って定期入れをプレゼントして別れを告げる。
アカネの視点と六花の視点
アニメ「SSSS.GRIDMAN」は特撮ヒーローものである「電光超人グリッドマン」を原作とした作品です。
「電光超人グリッドマン」はパソコンを自作するのが好きな中学生3人組のお話。
異次元空間「ハイパーワールド」から来た悪者が、パソコンオタクである男子中学生をそそのかし、コンピューター上で悪さをする。
それをハイパーエージェントが中学生3人組と協力してグリッドマンとして戦います。
「SSSS.GRIDMAN」は原作「電光超人グリッドマン」同様にコンピュータワールド、つまり現実世界ではない仮想世界で戦闘が繰り広げられます。
「SSSS.GRIDMAN」が「電光超人グリッドマン」と異なる点は、
「電光超人グリッドマン」があくまで主人公達は現実世界から仮想世界にアクセスしている視点であるのに対し、「SSSS.GRIDMAN」は主人公達も仮想世界の存在であり、本当の人間はアカネしか登場しない点です。
物語序盤は裕太達の視点で物語が進むため、視聴者も含め、「裕太達=現実の人間」「裕太達の世界=現実世界」ゆえに「アカネ=仮の存在?」という仮説の下で展開していきます。
それが次第にアカネの視点が増えていき、
「(裕太達が)現実と思っているもの=実は作られたもの」という視点が出てきます。
そして終盤になると完全に「アカネ=現実の人間」「六花達=仮想世界の存在」という関係になり、
最終回のクライマックスでは実写シーンもあって完全にアカネ目線で六花達の世界を視聴者は見ることになります。
この視点の変化が物語を通して起こるのが「SSSS.GRIDMAN」のおもしろい点です。
人は誰しも自分が見ているものが真実であり基準として考えがちです。
しかし、1歩引いてみると自分が「認知しているもの」が「自分がそう思いこんでいるだけ」ということがあります。
これは第10話「崩・壊」でも触れられます。
アカネが世界を作っているという裕太の話に対し、
自分に記憶がある故に、この世界は現実世界だという内海ははじめ考えますが、「その記憶ごと作られたものだったら?」と考えを改め、自分が見ているものに疑問を向けるようになります。
こういった哲学的な演出があるのも「SSSS.GRIDMAN」の魅力です。
登場人物の目の色やその他の伏線
その他「SSSS.GRIDMAN」は明言されていないもののいくつかの伏線があるのでいくつかピックアップします。
SSSS.GRIDMAN 最終回の解説~実写のアカネと神様の世界~
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アカネの正体は何だったのか?~SSSS.GRIDMAN 解説~
六花ママの正体は?なぜ目が黄色なのか?~SSSS.GRIDMAN 解説~
「SSSS.GRIDMAN」六花達の瞳の色の解説と考察と仮説
まとめ
以上のように、「SSSS.GRIDMAN」は仮想世界であるコンピュータワールドとその住人のお話です。
現実世界の人間はアカネだけであり、そういう意味ではアカネ視点での物語であるとも言えます。
自分にとって都合の悪い住人を怪獣の力で消し去るアカネの言動は、コンピュータワールドの住人である裕太達の視点でみると非常にサイコパスな言動に見えます。
しかし、私達がネット上でやっているゲームのキャラクターが死んでも良心の呵責がないように、アカネ目線で裕太達の世界を見てみると、アカネの楽天的な言動に多少共感できるのではないでしょうか。
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