村上春樹の小説の名言と解説~「ノルウェイの森」編~




村上春樹の小説「ノルウェイの森」


村上春樹氏の小説は基本的には海外文学の影響を受けていて、その文体は海外小説を翻訳したような洒落た表現が特徴です。

それを良く言えば「言葉の表現を巧みに使ったおしゃれで哲学的な言いまわし」と捉えて愛読する人もいますし、

悪く言えば「キザで現実離れしたかっこつけ」と嫌う人もいます。

今日はそんな村上春樹氏の小説において、恋愛小説として大ベストセラーとなった「ノルウェイの森」の名言集です。



村上春樹の小説の名言集と解説

ときどきひどく淋しい気持になることはあるにせよ、僕はおおむね元気に生きています。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

主人公の「僕」が書いた手紙の一文。


君に会えないのは辛いけれど、もし君がいなかったら僕の東京での生活はもっとひどいことになっていたと思う。
朝ベッドの中で君のことを考えればこそ、さあねじを巻いてきちんと生きていかなくちゃと僕は思うのです。
君がそこできちんとやっているように僕もここできちんとやっていかなくちゃと思うのです。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

ノルウェイの森の主人公は大学生。
大学生という時期は初めて地元から離れて暮らす人も多いのでは。
距離の離れた場所に恋人や友人がいる人は何かと共感できるノルウェイの森。


孤独が好きな人間なんていない。失望するのが嫌なだけだ

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

いかにも「村上春樹らしい」一節。


もちろん人生に対して恐怖を感じることはある。
そんなのあたり前じゃないか。
ただ俺はそういうのを前提条件としては認めない。
自分の力を百パーセント発揮してやれるところまでやる。
欲しいものはとるし、欲しくないものはとらない。
そうやって生きていく。
駄目だったら駄目になったところでまた考える。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

大学こそ違うものの、主人公と学生寮が一緒だった永沢さんの名言。
ノルウェイの森における永沢さんは自身の人生哲学をしっかりと持っていて、名言の宝庫です。


必要なのは理想ではなく行動規範だ。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用


おい、キズキ、と僕は思った。
お前とちがって俺は生きると決めたし、それも俺なりにきちんと生きると決めたんだ。
お前だって辛かっただろうけど、俺だって辛いんだ。本当だよ。
これというのもお前が直子を残して死んじゃったせいなんだぜ。
でも俺は彼女を絶対に見捨てないよ。
何故なら俺は彼女が好きだし、彼女よりは俺のほうが強いからだ。
そして俺は今よりもっと強くなる。そして成熟する。大人になるんだよ。そうしなくてはならないからだ。
俺はこれまでできることなら十七や十八のままでいたいと思っていた。でも今はそうは思わない。俺はもう十代の少年じゃないんだよ。俺は責任というものを感じるんだ。
なあキズキ、俺はもうお前と一緒にいた頃の俺じゃないんだよ。俺はもう二十歳になったんだよ。
そして俺は生き続けるための代償をきちっと払わなきゃならないんだよ。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

恋人の残して死んだ友人「キズキ」に対する主人公の決意。


どのような真理をもってしても愛するものを亡くした哀しみを癒すことはできないのだ。
どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。
われわれはその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできないし、そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみには何の役にも立たないのだ。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用

個人的には「ノルウェイの森」の中で一番の名言。
人は悲しみや喪失から何かを学び強くなれますが、そしたらもう悲しまないで済む、というわけではありません。
人は結局のところ悲しんだり傷ついたりすることを繰り返しながら生きていくのだという教訓。


我々は生きていたし、生きつづけることだけを考えなくてはならなかったのだ。

「ノルウェイの森(下)」(村上春樹)より引用



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