ダン・アリエリー氏の「予想どおりに不合理」を読みました。
学んだことや役に立ちそうなことをまとめます。
抜粋ではなくあくまで学んだことを個人的にまとめたノート感覚なので、原文をしっかり読みたい方は本を買うことをおすすめします。
1. 「予想どおりに不合理」とは?
「予想どおりに不合理」とは行動経済学に関する本です。
例えば人間は合理的に考えれば、「安くて質もいい物」を買いますよね。
でも実際は「みんなが使っているから」とか「CMで見たから」とかけっこう非合理的な理由で意思決定をしがちです。
これは人間が理屈だけではなく感情の生き物だからですよね。
こんなふうに、「人間、理屈通りに動くばっかりじゃないよね」という傾向を研究するのが行動心理学とか行動経済学とか言います。
「予想どおりに不合理」はこの行動経済学を研究し、日常にどう活かすかを書いた本です。
ちなみに行動経済学に関する本はいろいろありますが、これはブームの火付け役である1冊です。
2. 学んだことをピックアップ
以下、この本から学んだことや重要だと思ったところ、役に立ったところをピックアップします。
2-1. おとり効果
人は目の前のものが良いか悪いか判断するときに多くは相対性に頼ります。
比較して少なくとも何かより優れていると確定しているものを選びがちなわけです。
もっと詳しく:きれい(上)・可愛い(上)・可愛い(中)なら可愛い(上)がモテる
2-2. アンカリング
私達は最初に経験したものを無意識のうちにそのジャンルの基準にしてしまいます。
この傾向をアンカリングと言います。
例えば初めて勤めた会社がサービス残業毎日4時間のブラック企業だと、
転職した会社がサービス残業毎日1時間がすごく幸せに感じます。
本来、サービス残業は法律的にはいけないことなのにです。
もっと詳しく:スタバはなぜサイズがS・M・Lじゃないのか?
2-3. 感応度の逓減性
同じ変化の程度でも状況によって感じ方が変わっていくことを「感応度の逓減(ていげん)性」と言います。
例えばあなたが30kgの荷物を持っていたら1kgの荷物が増えてもそこまで負担を感じることがないかもしれません。
しかしあなたが1kgの荷物を持っているときに1kgの荷物が増えたら突然倍になったと負担に感じるかもしれません。
もっと詳しく:「多く出す」より「おごる」ほうがコスパがいい。
2-4. 市場規範と社会規範
私達が物事を考え判断する上で、適当に決めたりまっさらの状態で考えたりすることは稀です。
たいていは何か考える基準があります。
つまり規範があるわけですね。
「これはお金に換算するといくらだろう?」
とお金で自分が行動するか否かを決めるのを市場規範と言います。
一方で、「誰かのために親切にしよう」
といった損得とは別のところで決めるのを社会規範と言います。
もっと詳しく:お金を渡すとむしろやる気がなくなる(1)
2-5. 先延ばしの癖を改善する
先延ばしの癖を改善するための最も効率的な方法は外部から締め切りや条件を設定してもらい作業から逃れられない環境をあらかじめ作ることです。
もっと詳しく:心理学的に最も有効な「締め切り」の決め方
2-6. お金に換算してはいけないこと
心理学的にも実生活からの実感としても、人はお金に換算した途端に気持ちが冷めてしまうことが多々あります。
もっと詳しく:お金に換算してはいけないこと
2-7. レイク・ウォービゴン効果
人は誰でも「自分は平均よりちょっと上」と思っています。
この無意識に「平均より少し上」の感覚を持つことを、「ポジティブバイアス(前向きな先入観)」と言います。
もっと詳しく:人は誰でも「自分は平均よりちょっと上」と思っている
2-8. 選択における人間の心理
心理学的に、人はとりあえず選択肢をたくさん準備しておこうと考えがちです。
もっと詳しく:人は選択肢の数を維持することに思った以上に固執する~扉ゲームの実験~
2-9. 「おいしい」の感じ方
人は味覚以外の情報も含めて「おいしい」と感じます。
料理において食器の種類や盛り付け方にも気をつけるのは理にかなっています。
もっと詳しく:ペプシとコカコーラどっちがおいしいかMRIで脳の反応を見てみる。
2-10. プラセボ効果
人間、根拠がないのに確信をもってしまうことというのはけっこうあります。
もっと詳しく:内胸動脈結紮のプラセボ効果 ~プラセボ効果とは?~
3. まとめ
そんな感じで「予想どおりに不合理」は理屈だけではない人間のリアルの反応・意思決定を扱った良著です。
普段のコミュニケーションや仕事におけるマーケティングなど活用できる機会は多いと思います。
人間を知ることに役立つ1冊ですね。
4. その他の記事
5. 参考資料
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』早川書房、2013年