心理学的に最も有効な「締め切り」の決め方

何かをしようとするとき、
何かをしなければならないとき、
度々私達の前に立ちはだかる締め切り。

締め切りはゆとりのあるものから窮屈なものまで様々です。
自分で決める場合や他人に決められる場合など様々です。

どのような締め切りが最も効果的なのでしょうか?


締め切りの実験


海外の大学で行われた締め切りに関する実験があります。

学生達には課題として3つのレポートがありました。
この締め切りについて異なる3つのグループを設定します。

Aグループ:最終締め切りのみ設定
3つのレポートはバラバラに出してもいいし、
まとめて最終締め切りに出してもいい最も自由があるグループ。

Bグループ:各々の締め切りを学生が決める
3つのレポートそれぞれに締め切りを学生自身が決めてもらう。

Cグループ:全ての締め切りを講師が決める
レポート1は○月○日まで、レポート2は△月△日までと全てのレポートの締め切りを講師が決める。

ちなみにいずれのグループも共通しているのは、
・締め切りを過ぎると評価が下がる。
・締め切りより早く出しても成績が上がることはない。
(成績を左右するのはレポートの質)

さて、3つのグループのうち最も成績がよかったもの、
つまりレポートの質がよかったのはどのグループだったでしょう?


実験結果


実験の結果、
最も成績が良かったのは全ての締め切りを講師が決めたCグループでした。

成績はC>B>Aの順でした。


実験からわかること(1)


実験からわかることは、
人はしないとけないことを先延ばしにするということ。

誰もが心当たりがあるでしょう。

そして先延ばしの癖を改善するための最も効率的な方法は
外部から締め切りや条件を設定してもらい作業から逃れられない環境をあらかじめ作ること。

同じ作業、同じ作業期間を与えられても、
締め切りの有無で作業の質は変化します。


実験からわかること(2)


この実験から得る教訓の2つ目は、
周囲に締め切りを宣言するだけで、そうでない場合よりも作業の質は上がるということ。

この実験で最も効果があったのは全ての締め切りを講師が決めたCグループでした。
しかし大人である私達はなんでもかんでも周りが決めてくれるわけではありません。

時には自分でペース配分をして考えて作業をしないといけないときがあります。

そのとき参考になるのがこの実験のBグループの存在。

自分で締め切りを決めただけでBグループはAグループよりも成績が上がりました。

何かに取り組むときは、
他者にそれをいつまでに終わらせるか宣言することは有効です。

この他者に宣言するというのが重要です。
実験のBグループも締め切りの日付は自分で決めたものの、
その日付を守れなければペナルティーが課せられる状況でした。

自分のペースで物事を進めていいときは、
あとで言い逃れできない締め切りをあらかじめ作っておくことが作業の質を上げるポイントとなります。






【参考文献】
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』早川書房、2013年

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