友人が多い人もいれば少ない人もいます。
友人が多いのに不満足な人もいれば、少ない親友で満ち足りた人生を送っている人もいます。
友達って、何人くらいいたらいいのでしょう?
人間の脳の大きさはだいたい同じです。
ということは、人間の記憶力や認知能力の限界もだいたい一緒であるということです。
人間の脳は、どのくらいの友達を作るようにできているのでしょう?
ダンバー数とは?
霊長類は主に集団で生活します。
集団の規模とその種の脳(新皮質)のサイズは比例することがわかっています。
脳の大きさで形成できる集団の規模がある程度決まるわけです。
人間の脳はどうなのでしょう?
人間の場合、形成できる集団はおよそ150人規模と言われています。
つまり人間ひとりが他者とそれなりに交流を持てる限界の人数はおよそ150人くらいということになります。
この150という人数をダンバー数と言います。
150人の友達
人が定期的に連絡をとっていて、相手の顔や名前や人となりを覚えていて、交流を持っている人はおよそ150人くらいではないでしょうか?
もちろん人は一生のうちに150人以上の人と出会います。
しかしその中にはもう連絡をとっていない人。忘れてしまった人もいるでしょう。
出会いがあり別れがあり、誰しも人間関係は新陳代謝されていくものです。
人間の脳や社会が同時に関係性を維持できる人間の数というのは150人くらいのようです。
人間関係の濃淡は3の倍数?
誰しも「すごく仲が良い人」もいれば「そこそこ仲が良い人」もいます。
人間関係には濃淡があります。
ダンバー数をさらに詳しく見てくと、人間関係の濃淡はおよそ3の倍数で成り立つと言われています。
まずその人にとっての親友である3~5人。
そして親友ほどではないけれど、かなり親しい10人。
さらに比較的親しい30人。
最後にたまに連絡をとるくらいの100人。
これらが同心円上に広がり、内側の円も足すとちょうど3倍ずつくらいに人間関係が増えていく。
オックスフォード大学のロビン・ダンバー氏によると、
このような3の倍数で関係性の濃淡が変わる150人くらいの人間関係を人間は築く傾向にあるそうです。
交流の頻度からみる人間関係の濃淡
最も親しい3~5人とは、まさに「親友」が該当するでしょう。
毎日あるいは週に1回くらいは交流があり、場合によっては一生や長いスパンで関係性が続くことになるでしょう。
この3~5人は人によっては「恋人」や「配偶者」、「息子・娘」も該当するかもしれません。
かなり親しい10人は「仲の良い友達」といったところ。
週に1回ないし月に1回くらいは交流があり、よく遊んだり食事をしたりする友達はこの10人が該当するでしょう。
この10人には家族や親族も該当するかもしれません。
上記を合わせた15人くらいの人脈はその人の人生において極めて重要な意味を持ち、シンパシーグループと言われたりします。
シンパシーグループとは、この世からいなくなったらあなたが正気でいられなくなるくらい親しい大切な人達のことです。
人のシンパシーグループの人数は心理学的にはおよそ15人くらいとされています。
シンパシーグループのすぐ外側に、「比較的親しい」30人がいます。
月に1回ないし年に1回くらいはプライベートな交流がある仲。
クラスメイトや職場の同僚も場合によっては該当するでしょう。
そして最後が「弱いつながり」をもつ100人。
年に1回交流があるかないかくらい。
しかしこのくらいの付き合いがビジネスでは一番転機をもたらす機会が多いとされ、案外無視できない貴重な層です。
おわりに
あなたは友達が多い方でしょうか?少ない方でしょうか?
人間関係は基本的には個人の自由。友達が多かろうが少なかろうが、あなたが幸せを感じる人間関係を築けばいいです。
しかしその一方で、「自分はもっと人脈を広げた方がいいのだろうか?」「もっと積極的に友達を作った方がいいのか?」と自分の人間関係を考えることも長い人生ではあるかもしれません。
そんなとき、ダンバー数は参考になります。
それなりに親しい人はいるけれど、自分には親友が少ない。
何でも相談できる親友はいるけれど、ふらっと遊びに行く友達は少ない。
ダンバー数を見ると、そういった自分の人間関係に対する発見があるかもしれませんね。
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参考文献
ロビン・ダンバー『友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学』インターシフト、2011年