センディル・ムッライナタン氏とエルダー・シャフィール氏の「いつも『時間がない』あなたに 欠乏の行動経済学」から学んだことをまとめます。
抜粋ではなくあくまで学んだことを個人的にまとめたノート感覚なので、その点はご了承ください。
原文を読みたい方は本を買うことをおすすめします。
1. 「いつも『時間がない』あなたに」とは?
「時間がない」「お金がない」といった「欠乏」に関する心理学的研究の書籍です。
時間やお金にゆとりをもつためにはどうすればいいか?
なぜ人は時間やお金が足りなくなってしまうのか?
といった事柄に興味がある人にはおもしろい本だと思います。
2. 学んだことをピックアップ
2-1. 残り時間によって人の行動は変わる
時間が足りないと、人はあせってしまいますね。
一方で、時間がない故にテキパキと仕事を仕事をこなせる部分もあります。
時間の足りなさは目標への集中と効率を促し、目標とは直接関係ないことの見落としを招きます。
また、人は時間があるとついついその時間をいっぱいいっぱい使ってしまいます。
これをパーキンソンの法則と言います。
もっと詳しく:「時間がない」を逆手に取る時間術
2-2. 貧乏な時の方が合理的?
お金がどのくらいあるかで、人の判断は変わります。
財布の中のお金が少ない方が、目の前のお菓子を買うかどうか迷うでしょう。
お金が少ない方が人は目の前の物が「本当に必要か」とか「価格設定は適切か」といったことを考える傾向があるようです。
もっと詳しく:大きい買い物ほど財布のひもが緩くなる
2-3. 双曲割引
今日からダイエットするぞ!と意気込んでも、いざ食べ物を目の前にすると食べてしまう。
これはいざその状況になると思った以上に食べ物が魅力的に映るからです。
このように、時間軸によって自分がその物事に感じる価値が変わってしまうことを双曲割引あるいは現在バイアスと呼びます。
もっと詳しく:その場しのぎや後回しを改善する方法と習慣
3. この本で学んだことを日常生活に役立てる
人は状況によって同じ事柄でも違った判断をします。
その判断の違いを起こす背景には、欠乏や双曲割引という心理が大きく影響します。
人は、自分の意思は固く、どんな状況であっても特定の条件下なら同じ判断を下すと思いがちです。
でも実際は違います。
人の意思力は弱いですし、状況が変われば簡単に違う判断をしてしまいます。
そのことを自覚し、想定し、目標達成のためにはどんな環境設定が必要かという作戦が重要になります。
4. まとめ
人はお金にせよ時間にせよ、手元にあるとあるだけ使ってしまいます。
これをパーキンソンの法則と言います。
なんの策もないと、人はパーキンソンの法則によりあっという間に欠乏を経験します。
欠乏は主となる目標に関しては集中力を発揮しますが、それ以外のことを見過ごしがちでミスやトラブルを起こす原因にもなります。
欠乏やトラブルを防ぐために人は様々な計画を立てたり決意表明をします。
しかし人は時間軸によって物事に対するモチベーションや価値基準が変わります。
これを双曲割引(現在バイアス)と言います。
双曲割引の心理を自覚して、意思の力に頼らなくてもいい方法論をあらかじめ準備することが重要です。
5. その他の記事
6. 参考資料
センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール「いつも『時間がない』あなたに」早川書房、2015年