大きい買い物ほど財布のひもが緩くなる

節約に役立つ心理学的所見をいくつか紹介します。


大きい買い物ほど財布のひもが緩くなる


220円する卵が別のスーパーだと198円で手に入る。
多少面倒でも198円のほうのお店で買うようにします。

例えばパソコンを買いたい。
金額は10万円。必ず必要ではないですが、パソコンコーナーの隣にUSBメモリーがセールで1000円で売っていました。
ついでにと買ってしまう。

人は小額の買い物ほど支払う金額をシビアに考えるのに、
大きい買い物になるとどんぶり勘定になる傾向にあります。

そして往々にして、
小額の買い物でコツコツ節約しても、大きな買い物のどんぶり勘定であっという間に節約した分が台無しになってしまうものです。

これは他のことにも当てはまります。
日々あくせくと無駄な時間を減らそうとする一方で、ついついネットサーフィンであっという間に時間を使ってしまう。

デザートを0カロリーのゼリーにしたのに、ある日にたっぷりとお菓子を食べてしまう。

節約にせよ時間術にせよダイエットにせよ、大きな浪費をまずは気にすることです。
私達は小さなことに意識がいきがちで大きなことをざっくりとしか見ないという心理を自覚するべきです。


いくらなら払いますか?


【状況1】
8月の暑い夏、あなたは友人とビーチで寝転んでいます。
とても喉が渇きました。何か飲みたいです。
友人はこの近くで唯一飲み物が買える高級リゾートホテルのお店に行って飲み物を買ってくるよと言ってくれました。
しかし飲み物がいくらするかはわかりません。
あなたはいくらまでなら買ってきてもらうでしょう?

【状況2】
8月の暑い夏、あなたは友人とビーチで寝転んでいます。
とても喉が渇きました。何か飲みたいです。
友人はこの近くで唯一飲み物が買える激安スーパーに行って飲み物を買ってくるよと言ってくれました。
しかし飲み物がいくらするかはわかりません。
あなたはいくらまでなら買ってきてもらうでしょう?

【状況1】と【状況2】は買ってくるお店以外は同じ文章です。
あなたはいくらまでならお金を出すと思えたでしょう?

この記事では問題文を簡易にしましたが、
上記のような手法で実験を行動経済学者のセンディル・ムッライナタンらが行いました。

実験の結果、
裕福は人は【状況1】のほうが多くお金を出す傾向にありました。
しかし貧困層の人は状況がどちらでも飲み物に出す金額がほぼ一緒でした。

これは考え方によっては、
お金が不足しているときのほうがその物自体の価値をしっかり考えられると言えます。

あなたが出しているお金の何割が、その物自体ではなく状況に左右されているのかを考えることは有意義かもしれません。






【参考文献】
センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール「いつも『時間がない』あなたに」早川書房、2015年

テキストのコピーはできません。