容姿が人生に与える影響~見た目を真面目に研究する~

容姿の良し悪しは人生にどのような影響を与えるのでしょう?
美人とイケメンはなんだか人生得している印象です。
ブサイクは損している印象です。

でもそれは主観であって実際のところはどうなのでしょう。
容姿は統計的にいろいろな人が研究しています。

容姿を5段階【下】【中の下】【中】【中の上】【上】で分けたときにこれらの違いが人生にどう影響するのか見てみましょう。





男性のほうが女性より「並」が多い

男女別に容姿を5段階で評価します。
Aさんという男性が同じ年齢の男性集団の中で容姿がどうかといった具合です。

容姿に関する研究では、同じ年齢・同じ性別の中で容姿を5段階に分ける方法がよく使われます。

同じ年齢・性別の集団で比較された時、
男性のほうが【中】に該当する人が多いです。
一方で、
女性のほうが【下】や【上】に該当する人が多いです。

つまり男性の方が「普通」と評価されがちで、
女性のほうが「美人」や「ブサイク」と極端な評価をされがちということです。



容姿と自信

容姿が人より優れていると、自分に自信が持てるような気がします。
でも実際はどうでしょう?

確かに容姿と自信は正の関係にあります。
つまり容姿が良いと自信も持てる傾向にはあります。

ただしもっと重要な知見は、
容姿の良し悪しと自信の程度の関係性はとても弱い微々たるものだということです。

自信とはその人の成功体験や気質によるものが大きいのです。
例えば容姿の評価が低い人は整形をしたとしてもそれで劇的な自信を手に入れることはできないのです。

容姿が良くなれば自分に自信が持てるかというと、その効果は小さいです。


容姿と頭の良さ①

「頭の良さ」の定義というものはいろいろありますね。
ここでは便宜的に「学歴が高い」「テストで良い点を取れる」などとしましょう。

容姿と頭の良さの関係はどうなっているのでしょう?

海外において学力テストと容姿の関係を調べたところ、
容姿と学業成績に相関はありませんでした。

美人やイケメンだから頭もいいというわけでも頭が悪いというわけではないようです。

逆に、容姿が恵まれていないからといって、神様は明晰な頭脳を授けてくれるとは限らないということです。


容姿と頭の良さ②

「確かに容姿は良いけれど、そこまで人目を惹くほどでは」といった人でも、その人が「東大卒」だとけっこうもてはやされたりしますね。

頭が良い方が自分の容姿の価値をフル活用できるというのはアメリカの研究データも導き出しています。

学力が「普通」のAさん(容姿:中)とBさん(容姿:上)の格差より、
学力が「上」のAさん(容姿:中)とBさん(容姿:上)の二人の格差のほうが大きくなるのです。

頭が良いほど、容姿端麗であることの価値は上がるのです。

これは逆のパターンも言えます。
頭が良いほど、容姿が優れていないことでの社会的評価のペナルティーは大きくなります。残念ながら。


「フツメン2人」 or 「イケメン1人とブサイク1人」

容姿と年収は関係性があります。
乱暴な言い方ですが、容姿が優れている方が仕事ができるあるいは仕事ができると評価される可能性が高いのです。

では個人レベルではなく、組織として考えてみましょう。

容姿が5段階のうち
Aさん【上】、Bさん【下】の極端チーム
Cさん【中】、Dさん【中】の平凡チーム
4人の能力は同じとして、どちらが会社で売り上げを伸ばせるでしょう?

答えは極端チームです。
容姿に差があると比較対象ができ、それぞれに合った仕事がこなせるからです。

合コンで自分より外見が劣る人を連れていくのは理にかなっているのですね。


容姿の良し悪しと結婚

容姿に恵まれているとモテそうですね。
では実際のところどうなのでしょう?

人生の大きなイベントに結婚がありますが、
容姿によって結婚しやすさは変わるのでしょうか?

調査対象になった集団のうち
容姿が並みより上の人では既婚率は73%でした。
容姿が並みより下の人では既婚率は69%でした。
わずかに違いはありますが、統計的には誤差の範囲内です。

既婚率に容姿の良し悪しは影響しないことがわかります。

ただし、この調査にはいくつかの補足があります。

・【中】以上の妻の夫と比べると、【中の下】以下の妻の夫は学歴が低い傾向にある。
・妻の容姿が【中】【中の上】【上】での比較では夫の学歴に差は特にない。
・夫の容姿が低い場合は、妻の学歴が低いかというとそこまで関係性は強くない。

なかなデータというものは残酷なものです。
しかしデータはあくまでデータ。傾向も平均も万人にあてはまるわけではありません。
何を信じどう行動するかはその人次第ですよね。


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参考資料

ダニエル・S・ハマーメッシュ『美貌格差 生まれつき不平等の経済学』東洋経済新報社、2015年

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