工学博士である藤村靖之氏の著書「月3万円ビジネス」などを参考に、「複業」について考えます。
「副業」ではなく「複業」
近年、「複業」という考え方が出てきてます。
「副業」ではなく「複業」です。
「副業」は主の仕事があって、それに加えてあくまでサブとしてもう1つ仕事をしている状態です。
これに対し、
「複業」とは複数の仕事がどれも対等でどれも本業である状態です。
不景気な昨今、1つの仕事だけで充分生活を成り立たせることが難しくなってきました。
年功序列も怪しいので、1つの仕事で一生食べていけるかというのも微妙ですね。
そんな時代は背景において、「複業」が注目されています。
月3万円ビジネス
工学博士である藤村靖之氏は「月3万円ビジネス」というスタイルを提唱しています。
要するに、
月に3万円程度稼げる気楽な仕事を10個前後やって、月に30万前後稼いでそれで生活するというスタイルです。
このスタイルのポイントはやはり「月3万円」という絶妙な金額です。
月3万円というのは個人にとってはそれなりの額です。
3万円が複数集まれば、生活の見通しも立ってきます。
しかし、会社だとそうはいきません。
月3万円程度の利益しか出ない事業に新規参入するのは割に合わないので会社組織はやりたがりません。
そういった、大きな組織が手を出さない小さな事業に、小回りが利く個人が取り組んでいくわけです。
「月3万円ビジネス」のポイント
「月3万円ビジネス」のポイントはいくつかあります。
ローカライズ
地域や人脈に根差したビジネスをするということです。
これの反対がネットショップなど不特定多数を相手にしたビジネス。
インターネットは世界中の人が参加するから安売り合戦になって、結局資本力が大きい会社組織が有利になります。
「月3万円ビジネス」はネットでの大々的な活動は向きません。
価値のある商品を考える
先に原価と経費を決めるのではなく、消費者が欲しがるような価値を決めて、そこから利益を出すために原価や経費を工夫します。
経済的に豊かな時代なら、それなりの物でもそれなりに売れました。
でも今は不景気です。
消費者が買う物は「自分が価値を感じる本当に欲しい物」か、「安い物」です。
価値のある商品を考える
原価や経費はできるだけ無駄のないようにします。
「月3万円ビジネス」は小規模で行うので営業費も抑えます。
日本の住宅はアメリカの住宅の価格の2倍というのはよくある話ですが、その価格差の多くは営業経費からきています。
本当に価値のある物を小数の人に売るだけなら営業はそもそも少なくていいのです。
規模はほどほどに
月に3万円程度稼ぐつもりが、思った以上にうまくいくことがあります。
そういうときにも稼ぎはほどほどにして、事業規模をむやみに広げないように注意します。
個人の複業は他にも仕事があることが前提です。
いかに自分の無理のないペースで、経費や借金を0にして、複数の仕事をバランスよくこなせるか。それが重要です。
仕事を大きくし過ぎると、
自分の自由な時間がなくなったり、
他の仕事が犠牲になったり、
大きな会社に仕事を取られたりしてしまいます。
まとめ
「複業」とは複数の仕事がどれも対等でどれも本業である状態です。
複数の収入源があることは、会社に依存せずに選択肢を持って生きることがやりやすくなります。
複業のポイントは個人のフットワークの軽さを活かした、地域や人とのつながりを活かした、小額のビジネスです。
1つ1つは小額でも、組み合わせれば個人が生活していく上では充分です。
例えば営業時間の短いカフェ。
例えば規模が小さいNPO法人。
例えばワークショップ。
ビジネスの内容は消費者が価値を見いだせる物にします。
消費者が欲しい物や経験を手に入れるためにハードルを下げる手助けをしてあげます。
例えばみんなが集まれる場所としてカフェを営業する。
例えばみんなが地域のために活動できるためのNPO。
例えば自然のある暮らしをするための、野菜作りのワークショップ。
自分が楽しめるちょっとした仕事をやっていきます。
その他の記事
参考資料
藤村靖之『月3万円ビジネス』昌文社、2011年