涼宮ハルヒの憂鬱(アニメ)第5話「涼宮ハルヒの憂鬱 V」のあらすじと解説です。
アニメ2期における第5話です。
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第5話「涼宮ハルヒの憂鬱 V」レビュー
第5話は主に以下のような構成になっています。
・朝倉のマンションをハルヒとキョンが調査する。
・ハルヒが非日常を求める理由をキョンに話す。
・キョンが古泉と一緒に閉鎖空間へ。
第5話はハルヒがなぜ非日常な出来事を求めるようになったのか話すくだりや、古泉の超能力が登場するわりと重要回です。
一方で、物語が急展開したり古泉の哲学的で抽象的な説明が入ってわかりにくい回でもあります。
第5話「涼宮ハルヒの憂鬱 V」のあらすじ
朝倉のマンション調査シーン
転校した(ことになっている)朝倉の詳細を調べるために行動するハルヒ。それについていかされるキョン。
マンションの管理人から情報を得ようとするハルヒ。
状況に応じて常識的な口の聞き方や態度がとれるハルヒ。
マンションを出るときに長門とばったり。
そこに必然性は感じず「奇遇」としか捉えないハルヒ。
すれ違いざまに「気をつけて」とキョンにささやく長門。
踏切での、ハルヒとキョンの会話
踏切の近くでのキョンとハルヒの会話シーン。
ハルヒが非常識な行動をとるようになった理由をキョンに打ち明ける。
いつもよりテンション引くめ、というか真剣な感じで話すハルヒ。
真剣に聞くがゆえになんと返答したらいいかわからないキョン。
ハルヒと別方向で帰宅するキョン。
古泉とのタクシー内の会話
自宅に着くと家の前で待っていた古泉。
「えらくいいタイミング」で来たタクシー。
タクシーに乗る古泉とキョン。
タクシー内で「人間原理」の話。
「僕達は崖っぷちでつま先立ちしている道化師のごとき存在なのではないか」by古泉
続いて「涼宮ハルヒの話」
「彼女には願望を実現する能力がある」とのこと。
その力が備わったのは3年前。理由は不明とのこと。
それに伴い古泉に超能力が備わったのも同じ時期。
ハルヒが非常識な行動をとる一方で、根底には常識的な思考が備わっていることを指摘する。
閉鎖空間
横断歩道から閉鎖空間へ。
「すでにいろいろあった」ので閉鎖空間を初めて見てもあまりおどろかないキョン。
神人を倒して無事帰宅。
帰宅シーン
今日みた閉鎖空間はまだ小規模なもの。
閉鎖空間が大きくなりすぎれば世界が覆いつくされる危険がある。
などなど古泉がキョンに説明。
古泉はハルヒの動向に気をつけるようにキョンにアドバイス。
第5話「涼宮ハルヒの憂鬱 V」の解説
以下、第5話の内容について解説です。
長門の「気をつけて」の意味
次の第6話でキョンがハルヒと共に閉鎖空間に入ってしまうことを示唆しています。
ハルヒが非常識なことを望む理由
小学生の頃、自分はとても楽しく人生を生きていると思っていたハルヒ。
父親との野球観戦の際に世の中には本当に多くの人がいて自分はその1人にすぎないと感じました。
自分は大勢の人間の1人にすぎない
↓
自分は平凡な人間で平凡な生活をしているにすぎない
↓
自分が特別に楽しいと思っていることもどこにでもあるありふれたことにすぎない。
↓
もっと非凡でもっと楽しいことが自分が知らないだけで世の中にはきっとあるはず。
といった思考回路。こうして中学生になる頃から非常識な行動をはじめたハルヒ。
つまり、3年前くらいから今のハルヒの非常識な言動は始まったわけです。
タクシー運転手について
タクシー内で奇怪な話をする古泉とキョン。
それに黙っているタクシー運転手。
タクシー運転手は古泉と同様、機関のメンバーであると考えることができます。
キョンが言うように「えらくいいタイミングで」タクシーが来たことからもそれが予想できます。
また、第10話、第11話の「孤島症候群」の別荘の人間にタクシー運転手の容貌が似ている点も裏付けになります。
「人間原理」について
人は自分で認知してはじめてその存在を知ることができます。
認知していないものは存在していないと考えることもできます。
「人間原理」とは「人間が観測するとこういう結果だった」ではなく「人間が観測できる範囲は○○から○○だから、そりゃあ結果は○○から○○の間におさまるよね」という考え。
これに類似して「世界5分前仮説」というのがあります。
例えば記憶。
人は時間の流れの中で記憶が積み重なっていると思っています。
けれど、もし記憶を頭の中に瞬時に埋め込めることができれば、自分が長い年月を生きてきたと思いこむことは可能です。
自分が本当に時間を生きてきたのか、それともそう思う記憶を埋め込まれているのか。
これはどちらかと証明をすることはできません。
もしかしたらこの世界もほんの数秒前に神のような存在によって瞬時に作られ、人はあたかも世界に長い歴史があるような記憶を埋め込まれているだけなのかもしれない。
そしてこれらを否定することもできない。
といった感じが古泉の話。
古泉が思う、自分達の役割
非常識な出来事を求める中で、偶然にもハルヒに「願望を実現する能力」が備わったというのが古泉および機関の考え。
なのでハルヒの願望によっては、世界が作り変わり自分達という存在も消えてしまうのではと危惧しています。
「僕達は崖っぷちでつま先立ちしている道化師のごとき存在なのではないか」という古泉のセリフから読みとることができます。
閉鎖空間と神人はハルヒのストレスによって生まれます。
神人を倒し閉鎖空間を消すことで世界が飲みこまれるのを防ぐことができます。
また、ハルヒに楽しく穏やかに日常を過ごしてもらうことで今の世界を維持できると古泉は考えています。
おわりに
ハルヒになぜ不思議な力が宿ったのかという理由は作中ではっきりとはしません。
なので涼宮ハルヒの憂鬱は不思議な力の理由を追求する話ではなく、
「一人の人間に『願望を実現する能力』が自覚なく備わってしまった場合にどんなことが考えられどんなことが起こるのか」という点を楽しむ作品だと思います。