お金があれば幸せでしょうか?
この問いに対して、
多くの人が「半分YES、半分NO」といった心境ではないでしょうか。
古くからの友人。
安らげる家族。
他人の小さな親切。
かけがえのない思い出。
この世にはお金で買えないたくさんの幸せがあります。
その一方で、
新しい洋服
洗練された持ち物
高級料理のフルコース
さっそうと走る外車
お金で買える喜びや幸せがあるのもまた事実です。
お金があれば幸せかと言えば必ずしもそうとは言えませんが、
幸せにお金は少なからず関係しているようです。
今日はお金と幸せの関係を見ていきます。
私達の身近なお金に、年収があります。
一年間仕事をして得た一年分のお金。
多くの人は去年の年収と今年の年収は大きくは変わらないでしょう。
年収を極端に増やすのは多くの人にとってはけっこうたいへんなことです。
一方で、年収は人によって異なることも事実ですね。
年収が多ければ多いほど、人は幸せなのでしょうか?
あるいは年収を頑張って増やせば、人はもっと幸せになれるのでしょうか?
その過程で、自分の時間や家族との時間を犠牲にしても?
「幸せ」というのは人によって感じ方が違いますからなかなか定義が難しい概念です。
ただ幸せの定義がはっきりしないと話が先に進みません。
ここで考えます。
「自分は不幸だ。もう死にたい」と毎日思う人生と、
「なんて幸運なんだ。毎日が楽しい」と感じる人生では
前者のほうが幸せな気がしますね。
そこで今回は「幸せ」を
その人が「幸せと感じることができている」という満足度の高さと定義しましょう。
行動経済学者のダニエル・カーネマンらの研究によると、
アメリカでは年収が7万5千ドルを超えると、それ以上お金を稼いでも幸福には影響しないことがわかっています。
1ドルをだいたい110円と考えると日本の場合、
年収が825万円がお金で得られる幸せのピークと考えることができます。
年収約800万円は、一人ではなかなかハードルが高いかもしれませんが、
結婚して共働きでの世帯収入なら割と現実的な数字かもしれませんね。
なぜお金による幸せは頭打ちがくるのでしょう?
私達は無一文からお金を稼ぐようになると、まず衣食住が安定して供給できるようになります。
これは私達にとって大きな幸せです。なにせ生きることが保障できるのですから。
そこから少しお金をかけてより良い衣服や食事、住まいを手に入れても幸せを感じることができるでしょう。
しかしその嬉しさはいつか限界がきます。
例えば1万円するTシャツが1000円で買った安いTシャツより10倍高機能なのかというと微妙です。
お金で買えるものは、金額に比例して性能や品質が上がるわけではありません。
必ずいつか「お金を多く出した割には・・・」という状況になってしまうのです。
一方で、お金を稼ぐということはそれ相応の代償が伴うことも多々あります。
残業や日々のプレッシャー、スキルを磨き続けるための時間。
お金を稼ぎ続ける中で、
お金を稼ぐコストとそこから得られる幸せが割に合わなくなるポイントがくるのです。
「お金がもっとあったほうが幸せだ」という考えはある水準までは正しいです。
しかし年収が800万円を超えてくると稼ぎと幸せは直結しなくなります。
もしもあなたが、あるいはあなたの世帯が、年収800万円付近になったらお金以外の幸せに力を注がないといけません。
ゆっくりと休養をとること。
家族や子供と過ごすこと。
始めたかった趣味を始めること。
少々お金を犠牲にしても、それ以外のことで幸せを感じることが大切な段階がきます。
【参考文献】
エリザベス・ダン、マイケル・ノートン『「幸せをお金で買う」5つの授業』中経出版、2014