マルク・レビンソン氏の「コンテナ物語」を読みました。
学んだことや役に立ちそうなことをまとめます。
抜粋ではなくあくまで学んだことを個人的にまとめたノート感覚なので、原文をしっかり読みたい方は本を買うことをおすすめします。
「コンテナ物語」とは?
コンテナとは船や汽車に積まれている、大きな鉄の箱、あれのことです。
「コンテナ物語」はコンテナによって物流が行われるようになった史実を書いた本です。
コンテナで物を運ぶと、1度に大量の物を運べます。
コンテナをクレーンで船から降ろし、トラックに積めば、すぐに荷物を運べます。
すぐに荷物を海から陸に運べるので、船から港に荷物を降ろしていた単純労働者の仕事はなくなりました。
コンテナは鉄の箱で、鍵をかければ開けられません。
また、先述の通り、荷降ろしの際に他人が直接手で荷物を触れる機会がなくなりました。
結果、荷物の盗難が減りました。
荷降ろしの人出がいらなくなり、荷物の盗難が減ったので、輸送コストが下がりました。
輸送コストが下がったので、物流が盛んになりました。
物流が盛んになって、海外製品がどの国も簡単に手に入るようになりました。
輸入や輸出が気楽になったので、安い人件費の国に製造を外注するようになりました。
こうやって、世界の経済やビジネスのスタイルは大きく変化しました。
「鉄の箱で荷物を運ぶ」という発想が、それまでの世界を大きく変えました。
「コンテナ物語」は原因と結果のつながりが非常に興味深く学びになる本です。
「コンテナ物語」の要点 ~コンテナの導入~
以下、要点を箇条書きします。
コンテナは輸送コストを下げ、結果として「消費者に近い。故に高コスト」という体質のメーカーは不利になる。
コンテナにより輸送コストが下がることで、国際競争は加速する。
物を運ぶ過程でコストがかかるのは、荷物を積むときと降ろすとき。
長距離の輸送でも、コストの半分は両端の港でとられる。
単純に移動距離が2倍になるだけでは、運賃は2割程度しか増えないケースも珍しくない。
コンテナの製造は試行錯誤された。
例えば強度を重視するとそのぶん重くなり、コンテナ自身の重さで輸送の燃料費もかかってしまう。
重量の4分の1がコンテナ自身の重さであった時代もあった。
コンテナ輸送のパイオニアは、マルコム・パーセル・マクリーン。
彼は創意工夫をし、様々な規制を回避しながらコンテナ輸送を導入していった。
それまでの「海運業は船を運航する産業」という視点ではなく、「貨物を運ぶ産業」という視点がコンテナの発展させた。
コンテナの導入は様々な既得権益や常識、規制との戦いでもあった。
コンテナは規格が同じの方が使いやすい。
けれどどんな規格がいいかは国際会議で決めても役に立たないことが多かった。
机上で決めたきれいな数字ではなく、現場目線の規格がやはり普及した。
コンテナが普及するに従って輸送規模が大きくなり、導入や管理に必要な資金力は上がるので、海運会社は小数の大きな会社に収束していく。
「コンテナ物語」の要点 ~コンテナ輸送による変化~
コンテナ輸送のメリットをはじめに実感したのは電子製品。
電子製品は壊れやすく、盗難のリスクも高い。
一律な方法で輸送でき、輸送途中で開けることのできない鉄の箱は電子製品の輸送にぴったりだった。
コンテナ輸送の利益を上げるためには、コンテナに空きスペースをできるだけ作らないこと。
スペースの4分3を埋められるかどうかがコンテナ船の損益分岐点。
トヨタ自動車もコンテナ輸送の恩恵を受けた会社の1つ。
コンテナ輸送のように、物流が高度化・効率化すると在庫水準が下がることは統計的にも表れている。
コンテナ輸送より前の時代、つまり船が港に停泊し、人が何日もかけて荷降ろしする時代の輸送では「荷物がいつ着くか」を予想することが難しかった。
コンテナは、「物流の正確なスケジュール」という面でもメリットを与えた。
コンテナのように物流が合理化し、コストが下がると生産が分担される。
生産分担方式では、その頂点に位置するメーカーや小売業が最も経済的利益を得る。
海上貨物の輸送は、それにかかる日数が1日増えるだけで輸出業者のコストは0.8%増える。
コンテナは物流のコストを下げ、様々な恩恵をもたらした。
しかしそのぶん、港で荷降ろしをする単純労働者の仕事は激減した。
「あらゆる変化は誰かを幸福にし、そのぶん他の誰かを不幸にする」考えがコンテナにも当てはまる。
低価格商品とはつまり、輸送コストの占める比率が高い商品のことである。
コンテナのデメリットや問題点は、
・使えないが修理するほどの価値もない古いコンテナの破棄問題
・コンテナ輸送に伴う排気ガス問題
・物流の規模が大きくなり、港の渋滞や騒音問題
・コンテナは中身が確認しにくいので、テロなどの危険性やリスク管理の問題
・コンテナは中身が確認しにくいので、コンテナ内に簡易トイレなどを設置してから侵入する密入国者の問題
しかしながら、現状、コンテナ輸送はデメリットよりメリットのほうが大きい。
まとめ
「コンテナ物語」という本の魅力は、
「鉄の箱で荷物を運ぶ」というシンプルな発想が、世界を大きく変えたという、一見すると結び付きにくい原因と結果のつながりを学べる。
詳細な調査による事実に基づいた内容。
極端に偏った意見ではなく、事実に基づいた論理的な構成。
コンテナを導入する過程での、既得権益や規制との戦いから、それまでの常識を打ち破って新しいことを始める難しさと大切さを学べる。
といったところです。
ということで、「コンテナ物語」は良著だなあと思います。
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参考資料
マルク・レビンソン=著 村井章子=訳『コンテナ物語』日経BP社、2017年