借金を返すために別のところから借金をするような行為。
その場しのぎの行為は誰しも大なり小なり心当たりがあるものです。
その場しのぎを改善するためにはどうしたらいいかを考えます。
前回の記事:その場しのぎや後回しを改善する方法と習慣
その場しのぎの生き方になってしまう最大の原因はスラック(ゆとり)がないことです。
お金が足りない人は収入が足りないことが最大の原因ではありません。
急な結婚式、突然家電が故障した、車をふいにぶつけてしまった。
急なことに対応するためのお金を手元に準備していないからお金が足りなくなるのです。
つまりその場しのぎを改善する方法は、いかにして緊急事態でもすぐに平常時に戻れるようなゆとりを作れるかになります。
人間慌てると冷静な判断ができなくなるものです。
ゆとりがないと人のパフォーマンスは落ちてしまいます。
落ちたパフォーマンスで物事に取り組むから悪循環です。
一説による、一晩の睡眠時間が4~6時間の日々が2週間続くと、丸2日間寝てないのと同じパフォーマンスになってしまうそうです。
ゆとりを作り、その中で最も優れたパフォーマンスを発揮していくことが重要です。
ある海外の病院の話です。
その病院は常に手術室が満室。にもかかわらず手術を希望する患者さんはあとを絶たずそれゆえスタッフは激務を強いられ疲弊していました。
何か改善策はないものか。
そこで考案されたのが、この病院の32ある手術室のうち1室を「緊急用の予備手術室」として空けておくというものでした。
当然、現場の人間は猛反対しました。
「ただでさえ忙しいのに手術室を1室空けるなんて何を言ってるんだ!」
しかし実際にやってみたところ、驚くべきことが起こりました。
1室を「緊急用の予備手術室」として空けておくことで、時間外手術の数は減ったのです。にもかかわらず手術件数は以前より5%増しで増加し、スタッフの残業は減ったにも関わらず病院の収入は増えたのです。
この病院の多忙さの最大の原因は、
手術のスケジュールを全室きちきちに組み、手術の時間が押して予定がずれ込むことだったのです。
ゆとりがないことが原因だったのです。
ただでさえ忙しいのにゆとりなんてできないと諦めるのではなく、積極的にゆとりを作ることが長期的にはうまくまわるようになります。
とは言っても、ゆとりを作りそれがうまくまわるまでの間は多忙の中で踏ん張らないといけません。
多忙なときはできるだけ意志の力を消耗しないようにしましょう。
忙しいときほど冷静な判断ができなくなるものです。
シンプルでわかりやすい工夫をすることが大切です。
例えばパイロットが隣接する二つのレバーを間違えて操作してしまうことがあるそうです。
どんなに訓練を積んでも、様々な自体が考えられる空の上では冷静でいられなくなる可能性は否定できません。
そんなとき、「こっちのレバーは○○でこっちが△△」なんていちいち考えられていないでしょう。
しかしレバーの片方に輪ゴムをつけておくと、見た目や触った感じが明らかに変わるのでケアレスミスが減ったそうです。
冷静な自分でいることも大切ですが、「自分が冷静でないとき」を想定して物事を工夫しておくことも同じかそれ以上に重要です。
次回に続きます。
次の記事:その場しのぎや後回しを改善する方法と習慣③
【参考文献】
センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール「いつも『時間がない』あなたに」早川書房、2015年