コーラの代表的なブランドとしてペプシとコカコーラがあります。
ペプシとコカコーラはどちらがおいしいのでしょう?
海外のコカコーラのCMで、
調査の結果ペプシよりコカコーラのほうが人々はおいしいと回答したという主張がされました。
一方で、ペプシのCMではペプシのほうがおいしいと答えた人が多かったと主張しました。
これはどういうことでしょう?
どちらかが嘘をついているのでしょうか?
結論から言うと、両社は別に嘘のCMを流していたわけではありません。
答えが食い違ったのはその調査方法が異なったからです。
コカコーラの調査では、
被験者は自分が今から飲むものがペプシかコカコーラどちらか知らされていました。
ペプシの調査では、
被験者は自分が飲むコーラのブランド名は伏せられていました。
名前がわかるかどうかで結果が変わったのです。
名前がわかっていると人はコカコーラを選び、
名前がわからないとペプシを選んだのです。
この調査に興味を持った海外の大学が、
fMRI(機能的磁気共鳴画像)を用いてコーラを飲んだときの脳の活動をモニターしました。
・どちらがペプシでどちらがコカコーラか知った状態で飲み比べる
・どちらがペプシでコカコーラか知らない状況で飲み比べる
名前を知っているか否かで飲み比べの結果が変わるのかの実験です。
実験の結果、
今飲んでいるのはペプシ、今飲んでいるのがコカコーラといった具合に
自分が飲んでいるものを自覚している場合はコカコーラのほうが脳の動きは広い範囲で活発になりました。
その一方で、名前がわからない状況で飲み比べると、
ペプシもコカコーラも脳の動きに大きな差はありませんでした。
ペプシとコカコーラは味覚的には大差がつく違いはありません。
その一方で、わかって飲むとコカコーラのほうがおいしく感じる人が多いようです。
なぜでしょう?
これはおそらくコカコーラのブランドの力でしょう。
世界初のコーラであるコカコーラのブランドイメージは海外でも力強く、消費者には良いイメージを与えています。
先ほどのfMRIの実験でも、
コカコーラのブランドを愛している人ほど脳の動きは活発でした。
味覚以外の情報で人の飲食物の感じ方は変わります。
2つのコーラは味覚的には大きく違いはありません。
しかし私達がコーラを飲むときは、それがどこのブランドのコーラか知った上で飲むことがほとんどでしょう。
そう考えると、自分が良いブランドイメージを持っているコーラの方がおいしく感じるかもしれません。
人は味覚以外の情報も含めて「おいしい」と感じます。
料理において食器の種類や盛り付け方にも気をつけるのは理にかなっています。
コーラの実験でブランドを事前に知っていると知らない時より特に脳の前方のほうが活発になりました。
脳の前方は連想や人の気持ちを考える、冷静に行動するなど人間を人間たらしめる大切な活動を担っています。
人の脳は他の動物より高度に発達しています。
「おいしい」という感じ方も味覚だけではない実に多様な情報から脳は判断しているのです。
【参考文献】
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』早川書房、2013年