インフルエンザの出勤停止は有休を使わなきゃいけないの?



出勤停止なのに有給休暇を使わなきゃいけないの?

インフルエンザは感染症です。
インフルエンザになると日数に差はあるものの、体調の状態に関わらず一定期間「出勤停止」になる会社も多いのではないでしょうか。

会社から「休め」と言われたのに、自分の有休を消化するのはなんとなく腑に落ちない人もいるかもしれません。

出勤停止と有休の関係って、実際のところどうなのでしょう?

結論から言うと、
インフルエンザに伴う出勤停止の場合は有休を使わなくても法律上休むことは可能ですが、有休で休んだほうがお得です。

以下、もう少し詳しく。


出勤停止は法律上有効か?

感染症と出勤停止に関する法律

まずは日本の基本とルール、法律を確認してみましょう。

日本の法律には、感染症にかかった人を出勤停止にする法律は存在します。
感染症法や労働者安全衛生法などがそれに該当します。

つまり個々の会社がどう決めようと、特定の感染症にかかったら社員は休まないといけないという法律があるのです。

そしてこの「感染症にかかった人を出勤停止にする法律」はポイントが2つあります。

1つは、何が感染症に該当するか。
もう1つは出勤停止の際のお給料はどうなるのか。


何が感染症に該当するか

日本の法律では、特定の感染症になったら会社のルールに関係なく出勤停止にする法律があります。

ではインフルエンザはどうでしょう?
新型インフルエンザや鳥インフルエンザが法律上の出勤停止になる感染症に該当します。

よく言われる「インフルエンザA」や「インフルエンザB」は「季節性インフルエンザ」に分類され、該当しません。

出勤停止の際のお給料は?

さて、国が決めた法律なので、基本的に会社も社員も逆らえないわけです。
会社が「出勤しろ」とも社員が「出勤します!」とも言えないわけです。

そのため国の法律に則った出勤停止の場合、基本的にその期間は無給となります。
正確には、停止期間に会社は社員に給料を支払う義務がないのです。

ちなみに明らかに仕事中にインフルエンザになった場合は労災という可能性もありますが。

【目次】 ・仕事でインフルエンザになったら労災認定されるのか? ・感染症と労災に関する法律 ・仕事でインフルエンザにかかった証...



就業規則として感染症時の対応

出勤停止の就業規則

このように最低限のラインは法律によって守られています。

しかしならが、現実問題としてはそれだけでは不十分です。

季節性のインフルエンザでも、感染した状態で職場に来られては会社としては困るわけです。

そこで多くの会社では、法律とはまた別に就業規則として感染症時の対応を明記している場合が多いです。

これは先ほどの法律とは異なり、会社が「出勤するな」と会社都合で言っていることになります。

会社都合で社員を出勤停止にする場合、その期間を無給にすることはできません。

会社はいずれかの対応をすることになります。

・特別休暇
・休業手当

会社はどちらかを選択することになります。

特別休暇

特別休暇とは文字通り特別な休暇。
有休とは別の、給料が発生する休暇のことです。

休業手当

休業手当とは会社が原因で社員が休むときに出る手当です。
給料の6割が支給されます。


まとめ

以上を踏まえ、まとめです。

インフルエンザになって、出勤停止なったとき、自分の有休を使わないといけないのでしょうか?

出勤停止の場合、法律や制度的には有休を「使わないといけない」わけではありません。

しかしながら、
有休を使った方がその月のお給料が減らないので、有休が余っているなら有休を使った方が合理的です。

例えば新型インフルエンザになった場合。
これは国が定める感染症に該当するので、国の法律で出勤停止です。
国が定めるのはあくまで出勤停止。会社は給与の支払い義務はありません。

国が定める出勤停止に合致した場合、無給の休みか有休を選択することになるでしょう。

続いてA型やB型など季節性のインフルエンザになった場合。

これは会社の就業規則によります。
就業規則に定めた期間は出勤停止となります。この停止期間は会社都合。
会社都合なので特別休暇か休業手当が支給されます。

特別休暇がない場合は休業手当。休業手当の場合は給料の6割しか支給されない。つまり有休のほうが手取りは減らないわけです。

インフルエンザの際に「特別休暇」がある会社の方が社員に優しいと考えることができますが、特別休暇がないからといって法律違反かと言うとそうではありません。

インフルエンザの際に特別休暇がなくてもしょうがないといえばしょうがない。

よって、
インフルエンザで出勤停止の場合、会社に「特別休暇」の制度があるならそれを使って、ないなら有休を使うというパターンが給料も減らず一番理にかなっているのではないでしょうか。


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参考資料

『新型インフルエンザ(A_H1N1)に関する事業者・職場のQ&A』(厚生労働省)2018年1月17日検索

『感染症と休業手当』(吉田労務管理事務所)2018年1月17日検索

『インフルエンザでの休業、どう対応するべきか。日数は? 手当は?』(iCARE)2018年1月17日検索

『季節性のインフルエンザにかかった社員を休ませる場合の注意点』(社会保険労務士法人ザイムパートナーズ)2018年1月17日検索

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