人間には様々な心理的傾向があります。
人間の心理を知ることは、幸せに生きるためのヒントになります。
食べ物を食べておいしい。マッサージやお風呂が気持ちいい。
私達はその物自体や行為自体で幸せを感じることがあります。
一方で、その物や行為の背景に対して幸せを感じることがあります。
例えば子供が母の日・父の日に書いてくれた似顔絵。
恋人がプレゼントしてくれたマグカップ。
これらはそれ自体が嬉しいというより、大切な人が自分のために労力を割いてくれたという背景が嬉しいものです。
このように、人が喜びを感じる際はその背景が非常に重要であることがわかります。
一方で、嫌悪感に対しても背景が非常に重要です。
例えばあなたがジュースを飲んでいたとします。
飲んでいる途中に、そのジュースはさっきゴキブリが一回入ってしまったものだと聞かされたとしましょう。
今は別にジュースにゴキブリが入っているわけではありません。
話を聞く前と後でジュースの味自体も変わりません。
けれどあなたはそのジュースをもう飲もうとは思わないでしょう。
人が何に嫌悪感を抱くかも、その物や行為自体だけでなくその過程や背景が深く影響します。
その物や行為にどんな背景があるのかに着目することを本質主義と言います。
人間には生まれながらにして本質主義が備わっており、この本質主義が物事の印象や選択に大きく影響します。
本質主義に関わるものでイケア効果というものがあります。
イケアとはあの家具のIKEAです。
イケアの家具は組立家具が多いです。
組立済みの家具と比べて自分で組み立てた家具は愛着がわきやすく、それがイケアの成功の一因になったという考えです。
例え似たような家具でも、「自分が組み立てた」という過程がその物の価値をより上げたわけです。
このように、人は同じものでも自分が手を加えたものや過程に労力が伴ったものに魅力を感じます。
これは料理で想像するとわかりやすいでしょう。
見た目ではまったくわからないくらいの同じ料理でも、「お店で買ってきただけ」か「手作りか」で他人の評価は変わるものです。
補足記事:セミホームメイドの法則とは?~なぜ人は手作りがお好き?~
私達は幸せになるためにより良い物を買ったり行為自体にこだわったりします。
けれど人間はその物・行為自体以上に背景を気にする生き物です。
普段の何気ない物・行為にちょっとした過程を加えるだけで、人は今より幸せを感じることができます。
料理にひと手間を加える。
プレゼントに一言メッセージをそえる。
洋服や持ち物を丁寧にメンテナンスしてから身につける。
手作りの物を使う。
これらに多くのお金は必要ありません。
けれど得られる幸せは大きいものです。
本質主義を知るだけで、今日という日の過ごし方がずいぶんと変わる気がします。
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