アニメ「SSSS.GRIDMAN」の解説です。
ネタバレも含みますのでご了承ください。
【目次】 [close]
六花の願いの意味
「SSSS.GRIDMAN」の最終回、「覚醒」にてグリッドマンはアレクシスからアカネを救い出します。
最後のアカネと六花の会話。
「私はアカネと一緒にいたい。どうかこの願いが、ずっと叶いませんように」
六花はアカネに向けてこう言いました。
これはどういう意味なのでしょうか。
六花の本心としては、「アカネと一緒に居たい」です。
しかし「アカネと一緒にいる」ということは、
アカネが現実逃避して自分の世界ではなく六花達の世界にいることを意味します。
反対に、「アカネと一緒に居ることができない」というのは、「アカネが自分の世界に帰る」、つまり「アカネが現実の世界ときちんと向き合えている」ということになります。
アカネと離れ離れになることはさみしいですが、
アカネのことを思えばこそ六花は「願いが叶わない」ようにと願います。
解説
コンピュータワールドとレプリコンポイド
六花達の世界はアカネが作ったコンピュータワールドでした。
つまり仮想世界です。
そしてコンピュータワールドの住人である六花達は、アレクシスが言うように「偽りの人間」であり「レプリコンポイド」でした。
作中でアカネが言うように、六花達はみんなアカネのことを好きになるように設定されています。
つまり、アカネの都合のいいように作られた世界です。
当然、生きていれば都合のいいことばかりではありません。
ア カネがちゃんと生きていく上で必要なのは現実と向き合うこと。
六花は「神様には神様の世界がある」と言います。
アカネと一緒に居たいという気持ちと、アカネは本来自分と同じ場所にいる人間ではないんだという矛盾した気持ち。
六花はアカネを救うためには何が必要かと考えたとき、
アカネ自身がいるべき本来の世界と向き合うことが大切だと考えます。
「悲しいかどうかは私達が決める」
六花達の世界が仮想世界であることは第6話「接・触」にて判明します。
その後、アノシラスの少女から聞いた話を一同に話す裕太ですが、なかなかみんな受け入れることができません。
自分達の世界がクラスメイトに作られたもので、自分もその作られた住人にすぎない。
当然受け入れがたいことと言えるでしょう。
半信半疑のまま物語は進みます。
そして第8話「対・立」。
バスの中でアカネは六花に自分を好きになるように六花を作ったことを直接言います。
さすがに六花も同様を隠せていません。
おそらく六花はこの第8話前後から、「自分が作られた存在」であるとか「世界と人々を作ったのがアカネ」といった受け入れがたい事実との葛藤があったことでしょう。
そして最終話、自分の存在やアカネとの関係を受け入れます。
「自分を人間だと思ってる作り物」「悲しいよねえ」と言うアレクシスに対し、
「悲しいかどうかは私達が決める」と意思の強さを感じさせる一言を言います。
SSSS.GRIDMANの巧みな演出
最終的に、「SSSS.GRIDMAN」はアカネが作った仮想世界でのお話でした。
ゆえにそこに住む住人である六花達も人間ではなく、ただの作られた存在です。
このように、序盤は裕太や内海や六花達の視点で展開していく物語が、徐々にアカネの視点に転換していくのが「SSSS.GRIDMAN」のおもしろいところだと思います。
そしてこの視点の変化には六花の心情の変化も大きく関わっています。
つまり、六花が「自分やこの世界がアカネに作られた仮想世界でしかない」という事実を受け入れるに従って視聴者の視点も六花視点からアカネ視点に動いていきます。
そして最終話、最後に実写シーンによって視聴者を完全に現実世界側に立たせます。
映画(グリッドマンユニバース)での六花とアカネ