ダイエットは必要と思いながらもなかなか達成できない目標の一つではないでしょうか?
今日はダイエットに役立つ心理学実験をとりあげます。
人はお腹が空いたから食べているのでしょうか?
人は食べたいから食べるのではなく、状況からなんとなく食べてしまうのではないかと考えた人がいます。
コーネル大学のブライアン・ワンシンクは「人が食べる量は自分が『食べ終えたかどうか』という状況に左右される」という仮説を立てある実験を行いました。
被験者たちは複数名の集団で実験室に通されます。
部屋にはテーブルと椅子があり、テーブルの上にはそれぞれに皿に入ったスープとスプーンがあります。
被験者たちはスープを飲みながら談笑してもらいます。
皿はどれも見た目は同じものです。
そしてスープを飲む量は各人の自由です。
しかし皿のうちいくつかは底に管がついており、こっそりスープが足される仕組みになっています。
スープの量が変わらない人と、こっそり足されて多くなる人がいるのです。
被験者たちは実験終了後、自分の満腹度を答えてもらいました。
実験の結果、
スープを足された人はそうでない人より75%増しでスープを飲んでいました。
にもかかわらず、満腹度はスープが足されたなかった人と同程度でした。
さらに話を聞くと、スープを足された人達は、自分達が周りより大量にスープを飲んだ自覚もなかったそうです。
お腹が空いたから食べる。
空腹が満たされたから食べ終える。
人間はそんなに単純な食生活ではないようです。
私達は状況によって本当は食べる必要がなくても食べ過ぎてしまうのです。
底なし皿のスープの実験からわかることは、
私達の食べる量は、「出された食事の量」や「食べ終えたかどうか」にかなり左右されます。
出された食事の量によって、人は倍近く食べる量が変わります。
「出された食事の量」や「食べ終えたかどうか」によって私達がより多く食べても、そのことに私達は無自覚です。
「出された食事の量」や「食べ終えたかどうか」によって私達がより多く食べても、感じる満腹感は大して変わりません。
考えてみれば私達はほとんど食事を「習慣」としています。
空腹に限らず3食ほぼ同じ時間帯に食事を摂ります。
空腹の程度に関わらず、毎日同じ食器に収まるくらいの料理を作ります。
その習慣の中で私達は身体が本当に感じている空腹を見失っているのかもしれません。
次回に続きます。
次の記事:ダイエットを成功させる心理学②
【参考文献】
リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』文春文庫、2012年