人は実際よりもものの見方に偏りがあるものです。
今日は物事の捉え方に関する人の心理を考えます。
人は誰しも多かれ少なから自意識過剰なものです。
自意識に関する調査で、コーネル大学のトマス・ギロヴィチらが2000年に行った実験があります。
複数名の生徒がいる教室に一人だけ5分遅れで教室に入ってもらいます。
遅刻した生徒はギロヴィチらが指定したTシャツを着せられています。
遅刻した生徒のTシャツは当時の学生らの間でとてもダサいと評判のTシャツでした。
その後、生徒達に遅刻した生徒のTシャツに気づいたか、
遅刻した生徒は自分が恥ずかしいTシャツを着ていたことを何人に気づかれたと感じたか聞いてみました。
結果、遅刻しなかった生徒のうち、Tシャツに気づいたのは全体の20%程度でした。
しかし、Tシャツを着ていた本人は
自分が恥ずかしいTシャツを着ていたことをもっと多くの人に気づかれたと答えたそうです。
人は実際より自分が人に見られていると感じているのです。
このような他人が思っている以上に自分が注目されていると感じることを「スポットライト効果」と言います。
「自意識過剰」というのは誰にでも多かれ少なかれ当てはまる心理のようです。
人は実際よりも自分が周りに注目されていると思いがちです。
その一方で、人はどのような人に注目するのでしょう?
「真ん中効果」という心理があります。
学生5人の集合写真を見せられ、誰が有能そうか選んでもらう実験がありました。
実験の結果、中央にいる学生のほうが端にいる学生より選ばれる確率が高かったようです。
人は「重要な人は真ん中にいる」と考えがちなのです。
これを逆手にとると、
誰かから選ばれたいとき、自分が重要な人間であると思ってほしいときは集団の真ん中にいるようにすると効果的かもしれません。
周りから有能そうに思われたいなら真ん中に立つとよさそうです。
そして自分が有能で知的に思われたいなら、
会話や書類に難しい言葉や複雑な文を用いる必要はありません。
プリンストン大学のダニエル・オッペンハイマーの研究がそれを教えてくれます。
難易度が様々な文章を被験者に読んでもらい、
後ほどその文章を書いた人の知性を評価してもらうという実験を行いました。
結果、わかりやすい言葉で書いた文章ほど、書き手の知性が高いという評価傾向がありました。
難しい表現、難解な文章は逆効果なのです。
わかりやすい言葉と表現で書かれた文章は相手に知的な印象を与えることができるのです。
【参考文献】
リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』文春文庫、2012年