前回に引き続き、「その場しのぎ」を改善する方法について考えます。
前回の記事:その場しのぎや後回しを改善する方法と習慣②
長期間の作業と締め切りは一つよりは、
段階ごとに小さな締め切りを設ける方がゆとりある作業ができます。
「1カ月後に企画書を仕上げる」より、
「1週目で企画を考える」「2週目でタイトルと概要を考える」「3週目で作成」「4週目で見直し」というように具体的にしたほうが達成しやすいです。
例えば急に冷蔵庫が壊れました。
すぐに買い替えたいですが、そのために老後の貯金を切り崩すのはちょっと二の足を踏みます。
貯金とは別に、緊急の出費に対応できるいくらかのお金を持ってくことが大切です。
関連記事:家計上手は、貯金とは別に不測の出費のためにお金を取り分けておく
人生には「ちょっとした緊急事態」というものがあります。
「ちょっとした緊急事態」に対応できる「ちょっとしたゆとり」が必要なのです。
誰しもが「老後のお金」や「大きな病気」など大きなことには敏感ですが、「ちょっとしたこと」にはついついその場しのぎでなんとかしようと考えがち。
大切なのは、「大きなゆとり」ばかりを見るのではなく「小さなゆとり」をまず作っておくのです。
いつも遅刻ぎりぎりになってゆとりがない。
そんな人は余裕をもって出掛けられる時間に合わせて携帯のアラームが鳴るように設定してはどうでしょう?
アラームというのはそれ自体は簡単な通知です。
しかし簡単でもいいので外部から自分の行動をコントロールするための刺激が入ることは効果的です。
実験では、貧困者に毎月月末に貯金を促すようなメールを送ったところメールをしない場合より貯金が6%増したとのことです。
何かを強制しない、通知でしかないメールやアラームでも自分の行動のコントロールには有効です。
「3時から時間が空くから企画書を作ろう」
「この案件は10時から始めよう」
何か予定を組むときに私達は「時間」×「内容」でスケジューリングしていきます。
しかしより効率的に予定を組んでいこうと思おうなら
「時間」×「内容」×「処理能力」の3つの要素で予定を組んでいくべきです。
処理能力とは文字通り物事を処理するための能力です。
人の処理能力は変化します。当然ですね。疲れているときは集中できないでしょうし、慌てているときは良いアイディアは生まれません。
そのときの処理能力に合った作業をするべきです。
「午前中は仕事に集中できるので企画書を考えよう」
「2時頃は眠くなってくるから外回りで営業に行こう」
「夕方は疲れてくるから頭を使わないで済む書類整理をしよう」
全てが都合良く組めないかもしれませんが、
未来の自分のコンディションがどのような状態か予測して自分がすべき行動を予定しましょう。
時間がない。お金がない。
その場しのぎになってしまう。余裕を持てない。
様々な場面で私達は「欠乏」を感じます。
しかしはじめから欠乏してることは稀です。
だらだら過ごしていて締め切り直前になった。
月初めの無駄遣いが月末の生活を圧迫する。
欠乏の前に往々にして豊かさの無駄遣いがあります。
さきほど、「ちょっとしたゆとり」を作ることが大切であると書きました。
しかしもっと正確に言うと「ちょっとしたゆとり」はゼロから生みだすのではなく、はじめに小分けでとっておくという感覚です。
ゆとりを先に取り分けておくのです。
ゆとりを取り分けるためにはどうしたらいいでしょう?
例えば簡単な通知など自分をコントロールできる工夫をしましょう。
予定を組むときはただスケジュールを詰め込むのではなく、自分の処理能力やコンディションを予想して組みましょう。
私達に必要なゆとりは、すでに私達は持っている場合が多いのです。
【参考文献】
センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール「いつも『時間がない』あなたに」早川書房、2015年