一説では、意中の異性と付き合うまでにかかるデート代は4~7万円だそうです。
これは見方を変えれば人は6万円前後で恋人を手に入れていると考えることができます。
しかしながら、「6万円あげるから付き合って下さい」といって健全な恋愛関係が築けるかと言えば当然難しいですよね。
人から何かプレゼントをもらうことは嬉しいものです。
しかしそのプレゼントに値札がついていたらちょっと変な空気になりますよね。
このように、
人はお金に換算した途端に気持ちが冷めてしまうことが多々あります。
今日はこのお金と心の関係を見ていきます。
お金に換算して物事を判断することを市場規範と言います。
親切心とか周りの目など社会性や心情で物事を判断することを社会規範と言います。
人はこの市場規範と社会規範を状況の応じて切り替えながら意思決定をしています。
ホストが女の子に優しくするのはそこにお給料が絡むから。つまり市場規範からです。
一方、人が恋人に優しくするのは純粋に好きだから、つまり社会規範が動機です。
人は誰しもこの「お金」と「気持ち」での意思決定を切り替えて使っています。
人は一度お金に換算して物事を考えると、
それが頭の片隅から離れないものです。
親切心でお手伝いをした子供に、
子供が頼んでもいないのにお小遣いをあげてしまう。
すると子供は次からは手伝う度にお小遣いに対する淡い期待が生まれます。
そしてお小遣いをもらえないと落胆する。
世の中にはお金に換算しないほうがよいことがあります。
プレゼントの値札を外しておくのは一般常識です。
これは心理学的にも理にかなっています。
もしもあなたがお金ではなく心でつながった恋人を欲しいと思ったら、あなたが使うお金の金額をできるだけあやふやにしましょう。
プレゼントの値札ははずしましょう。
ネットですぐに値段がわかる時代です。
手紙を添えたりラッピングを丁寧にしたり、+αの思いやりでお金以外の価値を作りましょう。
食事ごちそうするときは総額がわからないようにしましょう。
支払は相手が見ていないところでスマートに済ませましょう。
お金を貸してはいけません。
どうしても相手の力になりたいのなら、
お金以外の助力をしましょう。
できるだけ金銭で計算できないもので。
あなたにそのつもりはなくても、
あなたがお金に換算しやすいもので相手に尽くしてしまったら相手は無意識にあなたとの関係をお金で換算してしまいます。
もしもあなたが経営者なら、
社員が成果を出したときに安易にお金を報酬にしてはいけません。
お金で換算できない報酬を与えた方が社員のモチベーションは保たれます。
それは役職というポジションかもしれませんし、
優秀賞という名誉と記念品かもしれません。
いずれにせよ、
できるだけお金や数値に換算できるものは避けるべきです。
ちょっとブラック企業を増やしそうな考え方ですが。
子育ても同様です。
子供がお手伝いをしてくれた。
テストでいい点をとってきた。
子供を褒めたいときにお金やそれに類似したプレゼントをあげるべきではありません。
次からそういうものを期待するようになってしまいます。
プライスレスなもので気持ちを伝えましょう。
一緒に公園に行く時間をとる。
家族で旅行に行って素敵な時間を過ごす。
ちょっと手の込んだ料理を作る。
形にならない愛情を伝えるのです。
【参考文献】
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』早川書房、2013年