東京都のエステ店の残業代未払い問題が話題になりましたね。
外部リンク:東京都内のエステ店、残業代未払い問題の件
概要としては、
エステ店が残業代を再三支払わない
↓
従業員が裁判を起こす
↓
代表取締役が
「会社の法律は俺だと思ってるから」
「(残業代は)逮捕されても出せない」
などの発言をする
↓
話題になる
といった感じです。
なかなかたいへんな職場環境だったようです。
一方で、会社側も「トリートメントをしている時間以外は、遊んでるでしょ」などの発言もある様子。
これが会社側のいちゃもんなのか、本当に勤務態度に問題があったのかの判断はこのサイトでは置いておくとして、
「会社の法律は俺だと思ってるから」
こういう発言って、日本の会社、たぶん多いですよね。
廊下は走らないとか、宿題はちゃと出しましょうとか、
私達は子供の頃、「全体に共通したルールがあって、そのルールを守ることは大切である」という教育を受けて大人になるわけです。
しかし大人になってみると、労働基準法を中心に多くのルールが守られていないわけですね。
今回の件も、この代表取締役の人は日本の法律というこの国でも最も大きなルールを無視して話を進めているわけです。
武士道とか信念とか、海外はどうかわかりませんが日本には
「全体の意向より自分の判断を貫くことの方が尊い」という文化がありますね。
信念の強く持つことは大切なことです。
でも信念の方向を間違えるとルールを無視した非論理的な言動に行きつくわけです。
それが他者を助けたり社会を良くするために働くならまだいいのですが、
往々にしてその人より立場の弱い者が犠牲になったりするんですよね。
さらにたちが悪いのは、
「間違っていることをしているかもしれないけれど、信念なんだ」と自分を肯定しちゃうことなんですねよ。
本当の意味で自分が悪いことをしているって自覚できると反省したり行動を改めたりできるんですけど、人間は自分を肯定しちゃうと間違ってても反省しないですもんね。
自己実現に関して有名なナポレオン・ヒルも、人間は自分が正しいと思っていることをするものだみたいなことを言っています。
例えば殺人犯だって「この殺人は社会のために必要だったんだ」と何かしら自分を肯定しているわけです。
人の考えを改めさせることがいかに難しいかがわかります。
例えば制服に着替えてから業務にあたるような仕事だと、
「始業前に着替えを済ませておくのが社会人のマナー」みたいな風潮ありますよね。
けれど実際には「会社側が特定の服に着替えてから業務にあたるように指示した」場合、「制服に着替える時間」は労働時間なんですよね。
つまりルール的には始業後に着替えてもいいわけです。
これは裁判にもなって判例も出ていることです。
補足記事:制服に着替える時間は労働時間か?~ブラック企業の見分け方~
じゃあ実生活はどうかというと、ほとんどの会社は始業してから着替えたりしてたら途端に「怒られたり」「社会人失格」の扱いを受けたりするわけです。
会社というのはひとつのコミュニティーで、
風通しが悪いコミュニティーは往々にして独自ルールが出来上がるものです。
「こうすべき」「これが正しい」といった価値観で洗脳されるわけです。
その「ブラック企業信念」は、法律という一番基本となるルールを無視しているわけですが。
ルール以外に大切なことがあるという美徳もわからなくはないですが、
ルールを破ってしかも弱い立場の人を傷つけるってどうなのかなあと思う今日この頃です。
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【引用・参考サイト】
『「会社の法律は俺だ」残業代求めるエステ店スタッフに会長は「逮捕されても出せない」と豪語した』(ハフポスト)2017年12月7日検索