鋼の錬金術師の漫画およびアニメ2期において、
ホムンクルスのラースでありアメストリスの大総統、キング・ブラッドレイ。
彼はホムンクルスでありながら、傷ついた体が再生しません。
なぜでしょう?
まず前提としてホムンクルスは賢者の石を核として作られています。
賢者の石はたくさんの人の魂(命)でできた、エネルギーの塊です。
ホムンクルスは傷つくたびに、このエネルギーを小出しにして再生します。
故にホムンクルスは厳密には不死ではなく、
賢者の石の魂の数だけ再生できると考えられます。
もっとも、賢者の石は何千万という途方もない人の命の数でできているので、相当の数なわけですが。
キングブラッドレイは、
人間の体に賢者の石を注入して作られた人間ベースのホムンクルスです。
通常、賢者の石を注入されると賢者の石の幾千万もの魂が体の中に入り込み、本人の魂は押しのけられて体を奪われてしまいます。
しかしながら、キングブラッドレイの魂は強靭で、賢者の石の幾千万もの魂から自分の体と魂を守り抜くことに成功します。
結果、キングブラッドレイはホムンクルスの力を有しながらも、自分の魂を保持した状態になれたわけです。
ただしその代償として、賢者の石の無数の魂を退けたために彼の体内には魂が自分のもの1つしかなく、故に再生能力がないわけです。
ちなみに、同じ人間ベースのホムンクルスとして、
リンの体に入ったグリードがいますね。
作中にある通り、グリードは再生能力を持っています。
これはなぜかと言うとリンとグリードの魂が共存しているからです。
完全にグリードがリンの体を支配すれば、リンの人格はありません。
一方、リンが賢者の石の魂を抑え込めばキングブラッドレイのように再生能力のないホムンクルスになります。
リンの人格とグリードの人格が共存するが故に、
リンの魂が保持されたまま再生能力を有するホムンクルスになっているわけです。
賢者の石を注入され、人間ベースのホムンクルスとして生まれたキングブラッドレイ。
強靭な魂を持っていた彼は、賢者の石の無数の魂との肉体の取得争いに勝利します。
結果、彼は自分の人格を維持したまま「最強の眼」を持つホムンクルスとして生まれ変わったわけです。
魂が一つしかない故に、
ホムンクルスでありながら再生能力がなく、また加齢により身体が変化します。
「老い」があるのも、他のホムンクルスとは違う特徴的なところですね。
再生能力がないことと老化という他のホムンクルスと比べると身体面にいささかハンディがあるような印象も受けますが、それゆえに人間として表舞台から「お父様」の指示を実行できたという側面もあります。
何年たっても見た目が変わらない体では、傷が瞬時に再生する体では、人前に長くはいれませんからね。
そう考えると、「ラース」は「お父様」が「歳をとるホムンクルス」として意図的に作ったことがわかりますね。
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