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クレしん映画の名作
アニメ「クレヨンしんちゃん」の映画は数多くありますが、その中でも傑作を1つ選ぶとなれば、
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」
かなと思います。
クレヨンしんちゃんの映画は「感動する作品」「笑っちゃう作品」など作品によって方向性というか印象がずいぶん異なります。
オトナ帝国は感動ありギャグありの映画ですが、強いてあげれば「感動」にウエイトがあり、「大人の鑑賞」も想定した作品です。
そのため、従来のおちゃらけた「クレヨンしんちゃん」らしくないという評価もあります。
しかしながら、
普段のしんちゃんのギャグ性やしんちゃんらしさ、子供が主人公の子供向けアニメというラインをギリギリ保ちながら、大人の鑑賞にも耐えうる作品に昇華したのが「オトナ帝国」なのかなと思います。
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」とは?
古き良き昭和の世界観を取り戻そうと大人達を操る組織「イエスタデイ・ワンスモア」。
その代償として未来が奪われてしまうかもと、しんちゃん達「カスカベ防衛隊」および野原一家は「イエスタデイ・ワンスモア」のリーダーであるケンのところへ乗り込む。
というお話。
2001年に公開され、制作当時は賛否両論あったものの、
「大人も感動するクレヨンしんちゃんの映画」として高い評価を受けることになります。
2005年の「ALWAYS 三丁目の夕日」をはじめとして、
2000年代は「昔ってよかったよね」というノスタルジーを肯定する風潮があった中、
「オトナ帝国の逆襲」は「過去を懐かしむ」気持ちを認めつつ、それでも「未来」の大切さに重きを置いたメッセージ性の強い作品でもあります。
一方で、「大人を泣かせにきている」「しんちゃん(子供向け)らしくない」といった指摘もちらほら。
クレしん映画ではよく「オトナ帝国」と「アッパレ戦国大合戦」が2大名作と言われることが多いです。
そしてこの2つこそがよく「大人を泣かせにきている」「しんちゃん(子供向け)らしくない」と批判されます。
たしかに、「主要人物が最後に死んでしまうことで感動を誘発させる『アッパレ戦国大合戦』は方向性として微妙かな」と思います。
一方で、
「オトナ帝国」はクレヨンしんちゃんという枠組みの外と内の境目をギリギリ狙った絶妙な作品だと思います。
以下、「オトナ帝国」の魅力を具体的に。
「オトナ帝国の逆襲」の魅力と解説
子供VS大人という構図
子供が大人達と対等に戦うというのは子供向けの作品でよくある傾向ですね。
「クレヨンしんちゃん」らしい内容です。
また、オトナ帝国においては「子供VS大人」という構図を通して「未来VS過去」という意味合いを持たせていますね。
子供に戻った大人達
オトナ帝国の洗脳により子供時代に戻ってしまった大人達。
ゆえに大人達は子供の頃をおもちゃを武器としてしんちゃん達を襲います。
子供向け作品として本物の武器やそれに伴う怪我や流血の演出をうまく回避しています。
「子供に戻った大人達」という設定のよって、残酷なシーンを使わずにしんちゃん達のピンチ自然に演出できていますね。
過去を否定せずに未来の大切さを描く
作品の中でひろしやみさえは子供時代に戻ってしまいます。
一旦目を覚ますものの、何度も過去の懐かしさにとらわれてしまいそうになるひろし。
「オトナ帝国の逆襲」は「過去を懐かしむばかりではいけない」というノスタルジーへのアンチテーゼが作風ですが、一方でその「過去」がいかに魅力的で人の心を奪うかも否定はしていないです。
おわりに
以上のように大人が感動する構成でありながらも、子供向け映画らしさを残している「オトナ帝国の逆襲」。
本編で描かれる「古き良き時代」は昭和なので、平成も終わった昨今においては再現が不可能な作品である点も貴重ですね。
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