アニメ「鋼の錬金術師」について一部ネタバレも含みますのでご了承ください。
トリシャの1期と2期の違い
エドとアルの母親であるトリシャは、1期ではホムンクルスのスロウスとして再登場し、2期ではホーエンハイム達の回想として登場するのみにとどまります。
アニメオリジナル展開の1期ではスロウスとしてエド達と戦い、エド達に「人体錬成をした罪」を重く突きつけます。
原作準拠の2期ではホーエンハイムの心の支えとなり、「人間は弱いけれど強くなろうと頑張れる」ことを体現したような存在となります。
このように、役割こそ違いますがどちらでもハガレンのテーマに深く関わる象徴的な言動を担っています。
解説
設定の違い
アニメオリジナル展開の1期では、ホムンクルスは「人体錬成で生まれた不完全な人間が紅い石(賢者の石の不完全品)を取り込むことで生まれる」という設定です。
そしてエド達が人体錬成によって生み出したトリシャ(のようなもの)をベースにしたホムンクルスが1期のスロウスです。
このためスロウスは1期と2期でまったく違う人物を指します。
出番の違い
1期のスロウスはトリシャの記憶を引き継いでいるため、ホムンクルスである自分の存在に葛藤することとなります。
エドを殺そうとするスロウスも、スロウスを殺そうとするエドもどちらも心中複雑で辛い展開となります。
そしてスロウスはエドに倒され、最終的には死亡します。
一方2期ではこういったトリシャが何らかの形で復活する機会はないため、比較的出番は少ないです。
しかしながら、ホーエンハイムの回想である第27話、第36話は非常に印象的で、トリシャの心の強さをよく表しています。
たくさんの人の命を犠牲にしてできた賢者の石。
それをホムンクルスに利用される形で内包することになったホーエンハイム。
彼が葛藤を抱えながらも道を踏み外さなかったのは、トリシャの存在が支えとなっていたからでしょう。
ホーエンハイムへの認識
1期と2期ではホーエンハイムに対するトリシャの認識も異なったと考えられます。
1期と2期ではホーエンハイムの設定も異なり、1期は肉体を入れ替え続けて限界が来た魂、2期では人間の形をした賢者の石として描かれます。
1期では腐っていく身体を見られたくないという、ある意味で個人的な逃避としてホーエンハイムは家族のもとを離れます。
このため、1期のトリシャはホーエンハイムの全貌を知らなかった可能性もあります。
一方で、2期のトリシャはホーエンハイムの全てを知った上で受け入れ、そして旅立ちを理解し見送ります。
以後の生活で涙を流す描写もあり、トリシャがホーエンハイムのことを理解した上で愛していた芯の強い女性であることがわかります。
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参考資料
『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST STORY』(TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト)2021年7月25日検索