ケンとチャコはなぜオトナ帝国を作ったか?
もう一度やりなおさなければいけない。
日本人がこの町の住人達のように、まだ心を持って生きていたあの頃まで戻って。
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」より引用
クレヨンしんちゃん映画「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」にて、
ケンとチャコは人々を懐かしさで洗脳するため「イエスタデイ・ワンスモア」という組織を立ち上げます。
高度経済成長期の活気ある日本を懐かしむ二人。
人々の心を古き良き時代の心に戻し、そこから改めて21世紀をやり直すためにオトナ帝国を作ります。
ちなみにこの「オトナ帝国」とはしんちゃんが勝手に言った名称であり、ケンとチャコは自分達が目指す世界を「オトナ帝国」とは呼称していません。
解説
オトナ帝国の目的
昔、外がこの町と同じ姿だった頃、人々は、夢や希望に溢れていた。
21世紀はあんなに輝いていたのに、今の日本に溢れているのは、汚い金と、燃えないごみぐらいだ。「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」より引用
オトナ帝国の目的は現在をやり直し、夢や希望を持てる未来を再び築くことです。
そのためにケンは昭和の商店街をモチーフにした空間を作ります。
そこで生まれる独特の雰囲気は人々に懐かしさを与え、その懐かしさが人々を洗脳します。
こうして強力な懐古主義により記憶まで失っていく人々と、
ケンの思想を盲信する隊員によりオトナ帝国は構成されていきます。
ケンの思想
お前達が本気で21世紀を生きたいなら、行動しろ。
未来を手に入れてみせろ。「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」より引用
イエスタデイ・ワンスモアの主要人物であるケンとチャコですが、二人の思想は微妙に異なっています。
ケンは野原一家に未来を変えるチャンスを与えたり、洗脳が解けた町の住人を処罰せず解放する様子が描かれます。
このように、
ケンは懐古主義者のあくまで代弁者的な立場をとっています。
自分自身も懐かしさを尊く思っている一方で、その代償として未来が奪われることを完全には肯定していません。
そのため未来を求める野原一家達とあくまでフェアに戦います。
チャコの思想
昔外の人達は、心が空っぽだから、物で埋め合わせしているのよ。
だからいらない物ばっかり作って、世界はどんどん醜くなっていく。「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」より引用
一方で、チャコはケンと異なり自身が盲信的な懐古主義であり、未来に対して感情的に非難します。
洗脳が解けた住人達に対して取り乱したり、未来を求めるしんちゃんに声を荒げる様子が見られます。
補足記事