「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」についてのページです。
適宜ネタバレも含みますのでご了承ください。
【目次】 [close]
ミハエルの豹変
どうしたんだベルクカイザー!
僕の言うことが聞けないのか!行け!行くんだベルクカイザー!
僕に恥をかかせる気か!アニメ 爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP 第四十九話「勝者の条件!」(ミニ四駆チャンネル【コロコロ×タミヤ公式】)(youtube)より引用
それまでの穏やかな言動と打って変わって烈と敵対するような思考を示した第49話のミハエル。
第49話のミハエルの言動は視聴者的にはちょっと急展開すぎる気もしないでもありません。
このためネットではミハエルが二重人格と言えるほど豹変したとネタにされることもしばしば。
その後のカルロVS烈の構図を作るための大人の事情と言えばそれまでですが、
思考実験としてミハエルの豹変ぶりを好意的に解釈・考察したいと思います。
解説
ミハエルの伏線
第49話の言動に至るミハエルの伏線は多くはないものの、
やはり第29話のミハエルの豪に対する言動は象徴的かと思います。
壊れた豪のマシンを修理しようかと提案するミハエル。
他チーム選手に直してもらわなくても、各チームとも技術担当スタッフくらいいるだろうというツッコミは置いておいて、
自分の大切なマシンを他人に簡単に渡して直してもらう選手なんていないでしょう。
この時点でミニ四駆を愛する豪達と比べるとミハエルはどこか感覚がずれている様子があります。
それは端的に言うとミハエルにとってミニ四駆は「ゲーム」の「道具」であって豪達にように愛着を持つ対象ではないということなのでしょう。
ロッソストラーダ戦においてもディオスパーダのアディオダンツァを受けることにあまり躊躇しなかったミハエル。
むしろ致命傷を避けながらアディオダンツァを故意に受けたことで、カルロを油断させた節さえあります。
このようにミハエルはミニ四駆をゲームの道具として見ている傾向がうかがえます。
ファイナルステージのミハエル
そしてファイナルステージ第2セクションのミハエル。
いつもと違い思い通りに走らないベルクカイザーに苛立ちを見せます。
ただ客観的に見ると路面状態が荒く勾配のあるテクニカルコースはベルクカイザーが最も苦手なコース。
そのようなコースを下見もせずその場の判断だけでレースに臨むのは慢心が過ぎると言えます。
そしてこの慢心が、後の烈との会話に影響してくると考えられます。
ミハエルの本音
烈「ミハエル君、僕は君みたいなレーサーと走れることを、誇りに思う」
ミハエル「他のみんなも相手レーサーのことを考えたりするの?」
烈「え?君は違うのかい?」
ミハエル「僕がレースで相手にしているのは君達レーサーじゃないよ。
僕はずっとこのベルクカイザーと戦ってきたんだ」烈「マシンと、戦う?」
ミハエル「どんなコースだろうと自分の思った通りにマシンを走らせる。
それがミニ四駆だろ?」烈「それは違う。
ミニ四駆は一緒に走ってくれる仲間だよ」ミハエル「そんなふうに思っているからマシンに裏切られて負けるんだよ。
僕はマシンなんか信じてない。
だって僕の敵なんだから」烈「マシンが敵だなんて」
ミハエル「それがマシンを使いこなす唯一の方法さ。
僕はマシンを支配している。
支配しているからこそ僕は負けたことがないんだ。
僕が勝ち続けていられるのは、マシンに勝ち続けてきたからさ」アニメ 爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP 第四十九話「勝者の条件!」(ミニ四駆チャンネル【コロコロ×タミヤ公式】)(youtube)より引用
そして第49話の烈と会話。
おそらくこれまで語ることのなかった自身の本音を吐露した瞬間と言えます。
ミハエルは天才肌であり、烈やカルロのようなマシンに対する気真面目さや努力で勝利を勝ち取ってきたタイプではありません。
自分にとって当たり前のことが周囲から見れば「天才」であり、ミハエルはどこかで周囲との温度差を感じていたのかもしれません。
自分はちっともすごいことをやっていなくて、当たり前のことをやっているだけなのに、周囲は自分に負け自分のことを天才と言う。
そういった退屈な状況が、ヨーロッパだけでなく世界の強豪が集う世界グランプリでも同じだった。
ミハエルはどこかで退屈と落胆を感じていたのかもしれません。
そして世界グランプリ終盤であるファイナルステージ。
自分と戦えることを誇りに思うと、自分のことを持ち上げる烈。
どうせ自分に勝てるレーサーはいないという慢心と退屈さから、ミハエルは自分の哲学を初めて語る、つまり自己顕示欲を抑えることができなかったのではないでしょうか。
ミハエルの敗北
僕が、負ける?
アニメ 爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP 第四十九話「勝者の条件!」(ミニ四駆チャンネル【コロコロ×タミヤ公式】)(youtube)より引用
そしてついに烈のバスターソニックに1位を奪われるミハエル。
後にカルロのディオスパーダにも抜かれてしまいます。
明らかにミニ四駆のスタンスに対する違いが呼んだ結果と言えます。
しかしそのレース展開を紐解くと、
勾配のあるテクニカルコースが苦手なベルクカイザーが、雨とテクニカルが得意なバスターソニックと渡り合うのはかなりの負担だったと推測できます。
結果としてベルクカイザーは息切れをし、コース特性のアドバンテージを活かしたままソニックが勝利したというところでしょう。
つまり今回のミハエルの敗北は、苦手なコースを遊び感覚で選び作戦もろくに考えなかった、慢心ゆえの必然だったとも言えます。
僕が、3位。
僕が……アニメ 爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP 第四十九話「勝者の条件!」(ミニ四駆チャンネル【コロコロ×タミヤ公式】)(youtube)より引用
こうして人生初の敗北を味わったミハエル。
カルロとはまた別の意味で、ミニ四駆に対する葛藤をその後経験することとなります。
「勝者の条件!」解説
補足記事