言語はたくさんの単語から成ります。
しかしながら、全ての単語を等しい頻度で使っているわけではありません。
よく使う単語がある一方で、
ごくたまにしか使わない単語があります。
日本語も例外ではないでしょう。
一説では、日本人は「すみません」という単語をよく使うらしいです。
その一方で、普段なかなか使わない単語も多いです。
例えば「雨」にはいろいろな言い方があります。
「五月雨」「夕立」「秋雨」「春雨」「にわか雨」「霧雨」「霖雨」。
これらをまんべんなく使っている人は少ないでしょう。
このように、言語において単語の使用頻度には偏りがあります。
ほとんど使われないような単語が無数にある一方で、
日常で高頻度で使う単語はちょっとしかない。
ほんのごく一部が、全体の割合の大部分を占めるという経験則をジップの法則と言います。
ジップの法則は言語学者のジョージ・キングズリー・ジップさんが発見した法則です。
経験則ですので厳密に統計処理がされたわけではありませんが、
多くの人が心当たりがある法則と言えるでしょう。
ジップの法則は言語だけには留まりません。
自然界にはジップの法則のような偏りが数多くあります。
有名なのは世界の富。
世界の富の半分は、世界の人口1%に相当する上位数十名のお金持ちが持っています。
ほとんどお金を持っていない貧しい人が世界には無数にいる一方で、
世界の富の割合に影響を持つほどのお金持ちはごく少数。
このように
自然界は階段のように等分に段階わけされているのではなく、
ある一線を境に極端な差になっているのです。
私達は小さい頃から学校で平等の大切さを教えられます。
その過程の中で私達は無意識に、
分けられるものは等しく分けられているという先入観を持ちます。
しかし実際は、
分けられるものは常に偏りがあり、その偏りの程度は非常に極端であるというのが自然の摂理なのです。
つまり格差は自然に生まれるということです。
この格差の存在を認めることで、日頃の物の見方は変わります。
例えばあなたがコンビニに入ったとします。
コンビニにはいろいろな魅力的な商品があります。
しかしそのコンビニに売り上げに貢献しているのはごく一部の品物だけかもしれません。
あとの大多数の物は1年に10個も売れない商品かもしれません。
例えばあなたのお給料。
あなたのお給料は1か月の日割りで均等に使っているわけではなく、
ある数日の間で月の半分以上のお金を使っているかもしれません。
偏りに気づくことで、私達は物事の事象の本質に気づくことができます。