「GRIDMAN UNIVERSE」シリーズのネタバレを含みますのでご了承ください。
「ごめん、夢芽」
映画「グリッドマンユニバース」にて、裕太がグリッドマンを見つける間、怪獣を操り時間を稼ぐ蓬。
「インスタンス・ドミネーション」を行う直前、蓬は「ごめん、夢芽」と罪悪感を感じているような様子が描かれます。
蓬にとって怪獣を操ることは夢芽達を裏切る行為でもあり、その葛藤がうかがえます。
解説
蓬の怪獣使いの素質
「SSSS.DYNAZENON」において、抽象的な教訓も含まれていた蓬の掌。
オープニングでは一同がダイナゼノンのパーツの握りしめる中、蓬だけは悩むように・考え込むように自身の掌を見つめます。
怪獣使いの素質があった蓬は、その気になれば怪獣優生思想のような怪獣使いになることが可能でした。
しかしながら蓬はそのような道を選ばず、最後までダイナゼノンやガウマ達と共に戦います。
怪獣優生思想は怪獣を操る際「怪獣をつかむ」という表現をします。
一方で蓬は最終話で夢芽と手をつなぎ学園祭という日常を過ごします。
蓬が掌で何をつかむのか。怪獣という「無常の自由」なのか夢芽や仲間という「かけがえのない不自由」なのか。そのような選択が蓬の掌を通して描かれています。
蓬とシズム
シズム「やっぱりわからないな。
君も怪獣使いになれる可能性があったのに。
惜しいことをした」蓬「俺は怪獣がわからない。
だから、そっちに行かないんだ」シズム「人が理解できないものこそ怪獣なんだ。
彼らは常に人の理の外にある。
怪獣は何かに縛られたりはしない。
君だって見たんだろ?
怪獣の力さえあれば、時間や空間、生きることや死ぬことからも解放される。
もう少しで無上の自由にたどり着けたのに、後悔はないの?」蓬「俺にはまだわからない。
これから嬉しいこととか、苦しいこととかを繰り返して、生きていきたいから」シズム「君達はそうやって、無自覚に自由を失い、やがて自分自身を縛っていくんだ」
蓬「俺は自由を失うんじゃないよ。
かけがえのない不自由を、これから手に入れていくんだ」シズム「やっぱりわからないな」
SSSS.DYNAZENON 第12話(Abema TV)より引用
「SSSS.DYNAZENON」最終話、怪獣の中でシズムと対話をする蓬。
自分がどちらを選択するのか、はっきりとした意思を持って答えます。
蓬にとって「怪獣使い」と「そうでない自分」は対極にあり、怪獣を再び扱うことは夢芽達へのある意味で裏切りと感じるのでしょう。
このため映画では「かけがえのない不自由」を守るためとはいえ、怪獣使いの力を使うことに蓬は葛藤します。
参考資料