「空の青さを知る人よ」についてページです。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
「空の青さを知る人よ」金室慎之介
不満があるわけじゃねえ。
新渡戸さんには感謝してるよ。
音楽に携わってるだけでも、御の字だ。
でも、わざわざいろんなもん捨ててまで、出る必要があったのかはわかんねえ。空の青さを知る人よより引用
映画「空の青さを知る人よ」の登場人物「金室慎之介」。
作中では彼の13年前の姿(生き霊?)を「しんの」、現在の姿を「慎之介」としています。
同一人物ではありますが、成長し考え方の異なる二人。
慎之介のほうの名言をとりあげます。
慎之介の名言と解説
慎之介「俺、夢は叶えたろ、いちお」
あかね「ほんと、叶えたね」
慎之介「馬鹿にしてっだろ」
あかね「こんなタチの悪い酔っ払い方する奴だったんだねえ、しんのは」
慎之介「お前、独身ってさ、俺のこと待ってたんじゃねえの」
あかね「うーん、待ってたのかなあ、たぶん、違うだろうね」
空の青さを知る人よより引用
自分の現場に後ろめたさがある慎之介。
ただ、「こんなの夢が叶ったと言わない」と単純な全否定はしていないところが、この物語の深いところというかリアルなところだなあと思います。
俺だって、来たかなかったんだよ。
こんな俺で、来たかなかった。空の青さを知る人よより引用
自暴自棄な慎之介。
慎之介「俺、こっから東京に出れば、どんな夢でも叶う気がしてた。でも、違うんだな」
あかね「夢、叶えたじゃない。ちゃんとギターを仕事にしてる」
慎之介「演歌歌手のおかかえバックバンドなんて、やりたかったわけじゃねえよ」
あかね「けど」
慎之介「不満があるわけじゃねえ。新渡戸さんには感謝してるよ。音楽に携わってるだけでも、御の字だ。でも、わざわざいろんなもん捨ててまで、出る必要があったのかはわかんねえ」
空の青さを知る人よより引用
慎之介「やっぱ、なんかいいな。お前といると。落ち着くっつうか」
あかね「え?」
慎之介「俺、戻ってこようかな。別に、今の仕事で先があるってわけでもねえし。なんつうかさ、周りも堅い仕事に就きだして。身ぃ固めて、俺もいい加減そういう歳なのかなあって」
あかね「なあに言ってんの。今の時代30そこそこなんて、まだ若造でしょ。落ち着くのはまだ早いっての。
ここでしかできないこと、私にはある。いろいろまだ、諦めてないよ。うん。これからこれから」慎之介「そっか」
あかね「そうそう」
慎之介「うん、そうだな。うん」
空の青さを知る人よより引用
今の自分を否定はしていないところがリアルですよね。
そして最後の、やや「無理に自分を納得させている感」も深いなあと思います。
いずれにせよ物語の終盤で、慎之介の心のあり方も変わるのですが。
俺さあ、俺、ちゃんと前に進んでんだと。
けど、まだ全部途中なんだ。
途中だったって、思い出した。
だから、諦めたくねぇんだ。俺も。
だから、お前のことも諦めない。空の青さを知る人よより引用
そして慎之介の1番の名言だと思う、クライマックスのセリフ。
補足記事