アニメ「炎炎ノ消防隊」の解説です。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
黒野VSナタク
「少年よ、弱くあれ」という、「少年よ大志を抱け」のオマージュのサブタイトルから、ギャグっぽさを想像してしまいますが
実際はかなり深いというか感動する第17話。
「人の弱さを肯定する」
「無理に強くあろうとしなくていい」
というのはよくある考えですが、
それを黒野というある意味「変人」な人物が言うからこそ、綺麗事ではない味のある展開になっていると思います。
このへんの、いい意味でひねくれている演出が、作者の大久保氏らしいというか個人的に好きなところです。
実際のシーン
あやうくだった。
この街の弱い者が、一瞬で吹き飛ぶところだった。
俺の、奪うところだったぞ。会社には、特別給与を請求せねばな。
炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第拾七話 少年よ、弱くあれ(GYAO!)より引用
動機は変ですが、ついに動き出す黒野。
灰病の右腕がカッコイイ。
灰を固めた刀で、易々と大焔ビトを切り裂く黒野。
大炎人が切られた!?
鬼ほどではないですが、相当硬い装甲ですよ。炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第拾七話 少年よ、弱くあれ(GYAO!)より引用
その様子にリツも驚きを隠せません。
強くあろうと必死に争うナタクですが、なす術もなく切り裂かれていきます。
ここの、ナタクの必死な表情と黒野の悟った表情の対比がたまりません。
なになにしたい。
なになにでいたい。
なになにになりたい。そう思うことで、男は勝手に強くなってしまうものだ。
何を焦る必要がある。
お前はもっと、今はこちらがいたぶりたくなるような弱さを大事にしろ。それは、とても貴重で儚いものだ。
だから、まだ弱いままでいてくれ。
炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第拾七話 少年よ、弱くあれ(GYAO!)より引用
理由はねじ曲がってますが、
黒野の言葉は黒野の本心ですよね。
みんなが「君ならできる」と言われてプレッシャーを感じていたナタクにとって、「弱くてもいいい」という言葉は建前ではなく本心でなければ心には届かないでしょう。
僕、弱くていいですか?
炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第拾七話 少年よ、弱くあれ(GYAO!)より引用
本当に「弱くあって欲しい」と思っている黒野からの言葉だからこそ、ナタクも心から「弱くていいんだ」と自分を許せたのかもしれません。
おわりに
99%の人間達から見ればおかしな関係であっても、1%の人間達にゃあ最良の場合がある。
炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第拾七話 少年よ、弱くあれ(GYAO!)より引用
カロンの言う通り、今回ナタクを救ったのはヒーローのシンラではなく死神の黒野だったようで。
本編のあらすじ