カウボーイビバップ(Cowboy Bebop)についてです。
適宜ネタバレも含みますのでご了承ください。
Part18 胸いっぱいの愛を
たまに思うわ、損な性格だって。
時々思うの、これじゃあいい男が逃げちゃうわって。
まあ、でもこれがあたしなんだからしょうがないわよねえ。
別人のように振る舞って「あたしぃ、こう見えても結構家庭的なんですよぉ」なーんて言っちゃって、一時うまくいったとしても、後で苦労、いや、もとい、後悔するだけ。
このあたし、そのままのあたしがいいって言う人じゃなきゃやだしね。
まぁあたしの相手をすんのも大変だと思うんだけど、宇宙のどっかにそんな運の悪い男もいるでしょ。ジェット「いやあブルース・ハープはいい!やっぱいいわ」
スパイク「アンタ、ジャズファンじゃなかったっけ?」
ジェット「バァカ言え、俺はおふくろのミルクを吸うにもワーブリングきかしてたもんさ」
スパイク「そりゃ気の利いたガキだな」フェイ(カウボーイビバップ よせあつめブルース)より引用
解説
フェイの飾らない言動がそのまま言い表されているようなパートである「胸いっぱいの愛を」。
しかし、フェイの言う「そのままのあたし」が本当のフェイなのかと考えると少し疑問も残る気がします。
第18話(テレビ放送時は第12話)「スピーク・ライク・ア・チャイルド」にて、過去の自分のビデオを見たフェイ。
ビデオの中のフェイは、ゆとりのある家庭で育ったお嬢さんでありながら、飾らない自然体な様子もある少女でした。
過去のフェイは活発な一面もありながらどこか純粋さもあって、今の強がっているフェイとは少し違った印象を受けます。
単純に年齢を重ねて変わったともとれますが、別の視点を持つと、
記憶のないフェイは今の境遇から作られた自分を「本当の自分」と言い聞かせ、固執している気もします。
一般的に人は幼い頃から今までの経験や記憶の中で自分の価値観や性格が形成されると思うのですが、フェイにはその材料となる記憶がありません。
記憶喪失のまま詐欺に遭い、莫大な借金を背負ったフェイ。
その境遇から身につけざるを得なかった「強い自分」を、記憶のないフェイは「本当の自分」と言い聞かせている気がします。
実際、記憶を取り戻しスパイクと話していたときなど、時折見せるフェイの言動は昔の彼女に似た優しいトーンがうかがえます。
補足記事