日本のSFアニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」およびそれのリメイク作品である「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0」の解説です。
1. わかりにくい「攻殻機動隊」
「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」っておもしろい作品だなあと思うのですが、正直、話がわかりにくい。
たぶん初めて観て1回でわかる人って相当少ないんじゃないかなあと思います。
ということで、
これを読んでおくと「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の内容がわかって楽しめるってことを書きます。
2. 攻殻機動隊の世界
機械の身体が発達した近未来
義手や義足といった機械の身体が発達した近未来。
身体だけでなく脳まで機械化できるようになった時代です。
ちなみに攻殻機動隊の世界では核戦争が起こったあとで、首都が九州になってたりします。
話が逸れましたが、脳が機械化できるといろいろとメリットがあります。
例えば「昨日こんなことがあったんだ」という自分の話を実際見た映像つきで相手に送ることができます。
とってもやりとりがスムーズですね。
これは自分の記憶を相手に送れるということ。
ってことは、記憶喪失に備えて自分の記憶をバックアップしておくこともできるわけですね。
そしてこの「記憶を外部に保存して扱うことができる」ということが便利さと悲劇を生むわけです。
記憶を外部に保存して扱うことができる
記憶を外部に保存でき、またそれを頭の中に入れることができるってことは人に偽物の記憶を植えつけることができるわけです。
例えばあなたに愛する家族がいて、やりがいのある仕事があるとします。
でも突然、「それはハッカーが埋め込んだ偽物の記憶です。あなたはほんとは家族も仕事もないホームレスです」って言われるわけです。
人は誰でも自分の記憶を本物と思ってます。だから突然「その記憶は偽物」って言われても信じられないし今までの生活を簡単には変えられませんよね。
そんなショッキングなことが誰にでも起こりうる危険性がある世界が攻殻機動隊です。
光学迷彩
攻殻機動隊では主人公が姿を相手に見えなくして戦うシーンがあります。
この姿を見えなくする技術を作中では光学迷彩と言っています。
光学迷彩の仕組みも脳へのハッキングによるものです。
攻殻機動隊の世界では目なども機械化できます。脳や目を機械化してすごく高性能にできます。
ネットにつなげて目の前の風景以外を見ることもできます。
これは逆に言うと他人の目をハッキングして目の前の物を見えなくすることだってできます。
これをうまく利用して攻殻機動隊の警察やテロリストは自分の姿を相手に見えなくしているわけです。
3. 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のあらすじ
公安9課
そんな攻殻機動隊の世界において特殊警察として働く草薙素子。
草薙素子は身体のほとんどを機械化した人。自分でも人間なのかロボットなのかわからなくなるくらい機械の体。
草薙素子の同僚のバトーもそんな感じ。
草薙素子が所属するのが公安9課という部署なわけですが、そこに入ってきたトグサはみんなよくやる程度の「ちょっとした体の機械化」しかしてないいわゆる普通の警察官。
ちなみ攻殻機動隊の世界では身体をまったく機械化していない人のほうが珍しい。
人形使い
そんな攻殻機動隊の世界で事件が起こるわけですね。
通称「人形使い」と呼ばれるハッカーが次々事件を起こす。草薙素子達は人形使いを捕まえに行くわけです。
4. まとめ
最後にちょっとネタバレですが、攻殻機動隊を理解するために必要なことを。
結局のところ、人形使いは草薙素子と共存することを目的に活動していたわけです。
人間は身体や脳を機械化することで実質的にいくらでも生き延びることができるようになりました。
でも、それだけでは生物として必要な「新しい子孫を作っていくこと」ができません。
これはデータの単純なコピーではダメです。
だって人が赤ちゃんを産むと、その赤ちゃんは自分に似ているけれど遺伝子的にはまったく一緒じゃないですよね。
この誰かと結ばれた結果自分とは違う存在を生むことができるからこそ生物は進化してきたわけです。
人形使いの正体は身体を持たないネット上の知能。
人形使いはネット上で生物として進化し続けることを望んでいました。
そこで高度な機械化をされていた草薙素子をパートナーとして狙っていたわけです。
一方で、草薙素子のほうも自分は人間の姿かたちをしているけれどほとんど機械の体。自分という存在はなんなのだろうという哲学的な悩みを抱えていました。
それ故に、人形使いと一緒になることでネット上に身体を持たない存在として解き放たれることに惹かれていったわけです。