1. 「最大多数の最大幸福」とは?
「最大多数の最大幸福」とは哲学に関する用語です。
平たく言うと、「社会がより良いものになるにはどうしたらいいか?」ということに対し、「できるだけたくさんの人が幸せになるような方法がいいよね」という考え方です。
「最大多数の最大幸福」はイギリスの哲学者、ジェレミ・ベンサム氏が述べたものです。
2. 幸せの総和
「最大多数の最大幸福」は全体の合計としての幸せを重要視します。
つまり、100人の人がいて、60の人が幸せになる方法と40の人が幸せになる方法なら60の人が幸せになる方法を採用しようという考え方。
1人の幸せよりも2人の幸せの方が大きいし社会的に価値があるという考え方です。
これは言い方を変えると、幸せというのは足し合わせて計算することができるという考え方でもあります。
3. 「最大多数の最大幸福」の欠点
「できるだけたくさんの人が幸せになるような方法がいいよね」という考え方はパッと聞いた感じ良さそうですね。
でも「最大多数の最大幸福」の「1人の幸せよりも2人の幸せの方が大きいし価値がある」という考え方は問題もあります。
例えば「1人は不幸になるけれど99人は幸せになれる」という方法が肯定されてしまうから。
要するに、「みんなが幸せになるためなら少数が犠牲になってもいい」という考えに至ってしまうわけです。
これが危険であることは、人の生き死にで考えるとわかりやすくて、「10人が助かるためなら1人が死んでも構わない」という考えが受け入れがたいというのは多くの人が思うでしょう。
4. まとめ
「最大多数の最大幸福」の考えは物事の意思決定を行いやすくする反面、「多数のために少数が犠牲になる」という考え方になりがちです。
「最大多数の最大幸福」という考えはあらゆる状況に使える考えではなく、状況によって使い分ける必要があります。
なぜなら個々の幸せというのは量を比べることはできないからです。
100人の人がいて、
99人の幸せ - 1人に不幸 = 98人の分の幸福
かと言えばそうじゃない。
1人の幸福と1人の不幸がプラマイゼロになるとは限らない。
人の幸せは単純に足したり引いたりして計算できるものではないということです。