心が叫びたがってるんだ。 玉子の妖精の正体は?

アニメ映画「心が叫びたがってるんだ。」に関するページです。

ネタバレも含みますのでご了承ください。




「玉子の妖精」の正体は?

心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 アニメ映画「心が叫びたがってるんだ。」において成瀬順の声を封印した張本人である「玉子の妖精」。

 はっきりと登場人物達から明言はされないものの、文脈から考えると

 「玉子の妖精」の正体は成瀬の妄想であったと考えられます。

 「玉子の妖精」は成瀬にとって、(自分の言葉のせいで両親が離婚したという思いから)自分を保つための一種の防衛本能、その比喩だったのではと解釈できます。



解説

「玉子の妖精」について

心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 物語序盤にて、成瀬の言葉を封印した張本人として描かれる「玉子の妖精」。

 お城や王子様にあこがれる成瀬に対して「王子」ではなく「玉子」であるという文字の遊びが見られます。

 玉子の妖精にはまるで尻尾のように「’」が付いていて、


心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 この「’」を隠すと「玉子」が「王子」になります。

 また、「君」と「黄身」をかけた表現をしたりと、度々卵を絡めた会話をします。



「玉子の妖精」に対する描写

心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 物語の終盤、坂上は成瀬に「玉子なんて最初からいないだろ!」と言い、成瀬は「いないと困るの!」と言います。

 このあたりのやりとりから、

 成瀬が言葉を発することができなかったのは、成瀬自身の心の問題であり、成瀬自身もそのことを少なからず自覚していたことがわかります。

 成瀬にとって両親の離婚のきっかけが自分の言葉だったことはショックであり、「玉子の妖精から罰を与えられた」というストーリーを信じ込むことで、過去のトラウマから自分を守っていたのでしょう。


心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 このように考えると、お城や王子様が好きな点や、ミュージカルのストーリーを創作する点など、成瀬の夢見がちな性格が、玉子の妖精の正体の伏線だったと考えることもできます。



結末の解釈

(坂上) 玉子の中には何がある。
(成瀬))いろんな気持ちを閉じこめて。
(坂上)閉じ込めきれなくなって、
(成瀬)爆発して、

(坂上)そして生まれた、その世界は、
(成瀬)思ったより、綺麗なんだ。

心が叫びたがってるんだ。(GYAO!)より引用

 「心が叫びたがってるんだ。」のラストは、上記のセリフと風に舞う玉子の妖精の帽子で終わります。

 成瀬が本心を話した(心を叫んだ)ことでどうなったのかという結末は、「心が叫びたがってるんだ。」という作品の奥深さを感じさせてくれます。

 両親の離婚のきっかけになったり、想いを寄せた坂上との恋愛関係が成就しなかったりと、苦い経験をした成瀬。
 成瀬が言葉を話したことでうまくいかないこともあるということは、結局昔も今も変わりません。

 一方で、自分の心を言葉にしようとした一連のミュージカルの活動をきっかけに、成瀬は田崎に告白されます。

 自分の「本当の気持ち」を話すことは傷つくこともあるけれど、それが良い結果を生むこともあるという、生きることの複雑さ・深さを教えてくれている気がします。



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参考資料

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