アニメ映画「心が叫びたがってるんだ。」について、結末の解説です。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
心が叫びたがってるんだ。最終回の結末(ネタバレ)
サブタイトルの「Beautiful Word Beautiful World」という言葉にもある通り、
「心」を「言葉」で伝えることの大切さや難しさを描いた作品である「心が叫びたがってるんだ。」
物語の結末としては、
成瀬の言葉が出ない症状は幼い頃のトラウマが原因となった自己暗示の一種でした。
あくまで玉子の妖精は順の思い込みだったわけです。
順は坂上拓実に恋をしますが、拓実に恋愛感情はなく、結果として順は失恋します。
この失恋をきっかけに感情が爆発し、順は言葉を発することができるようになります。
順の恋は実りませんでしたが、
最終的に順はミュージカルを通して仲が深まった田崎大樹に告白されます。
一方、
過去に付き合っていた拓実と仁藤菜月の関係性も修復される兆しを見せます。
順と大樹、
拓実と菜月、
それぞれの恋愛が成就したかは本編で語られませんが、いずれにせよ順を縛っていたトラウマは幾分快方に向かうかたちで物語は終わります。
心が叫びたがってるんだ。とは?
「心が叫びたがってるんだ。」は、
幼い頃のトラウマで、言葉を発することができなくなった女の子が、クラスメイトと共にミュージカルをしようとするというお話です。
高校生の「青春」を通して感動を描くアニメ映画ですね。
「心が叫びたがってるんだ。」は原作がないアニメ映画です。
漫画や小説を原作とする映画もありますが、
「心が叫びたがってるんだ。」は「心が叫びたがってるんだ。」のために脚本が作られた映画です。
アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を作った人達が作ったので、「あの花」の小ネタが「ここさけ」にはちょこちょこあります。
ただし、
「あの花」と「ここさけ」にはストーリー上のつながりはなくて、あくまで「同じ地域の同じ時間軸での別々のお話」という設定です。
具体的な展開
言葉を発せない順、
ピアノを弾ける拓実。
「歌なら自分の気持ちを伝えられるのでは」という発想をきっかけに二人の仲は深まっていきます。
この「歌なら発することができる」という発送は(まったく本作とは関係ないですが)実際の言葉の障害である「吃音」に通ずる考え方ですね。
いずれにせよ順と拓実の淡い恋愛模様を思わせながら物語は進みます。
その一方で当初はギクシャクしていた関係性が徐々に変わっていく4人。
ミュージカルへの取り組みも熱を帯びてきます。
しかし終盤、拓実が順を恋愛対象として見ていないことがわかります。
拓実としては悪気はなかったのでしょうが、
順からすれば「思わせぶり」な言動に順は傷つきます。
しかしこの件をきっかけに
順は飾らない言葉を発することができるようになります。
最終的にはミュージカルもなんとか終わり、
殻を破って自分の本当の気持ちを伝えれば、
それで離れていく人もいるかもしれないが、
自分を理解してくれる人も現れる
ということを暗に示しているのかもしれませんが、順は大樹に告白されます。
おわりに
自分の本当の気持ちを言えないことを玉子の妖精という比喩を使って描いた「心が叫びたがってるんだ。」
派手さはないですが非常におもしろい作品です。
そもそも順のトラウマのきっかけは、
幼い頃の順がラブホテルから出入りする父を見て、「お城から出てきた」と悪気なく母親に言うことが離婚につながったことに起因します。
このあたりの「大人が答えにくい子供の言動」というのがなんともリアルというか絶妙だなあと思います。
補足記事