小説および映画「かがみの孤城」に関するページです。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
ストロベリーティーの伏線
アキが持参したお茶と喜多嶋がこころにあげたティーバッグがどちらも同じストロベリーティーであるのは、嗜好が同じという点から2人が同一人物であることを示唆する伏線です。
このストロベリーティーのくだりは比較的尺を取ったわかりやすい伏線であるため、
かがみの孤城の映画において(視聴者に結末を予想されてしまうという意味で)非常にリスクのある演出であったと考えられます。
解説
ストロベリーティーのミスリード
冒頭で述べた通りストロベリーティーはアキと喜多嶋が同一人物であることの伏線です。
しかしこのストロベリーティーはこころがアキや喜多嶋に心を開きかける物語序盤で登場するため、
こころを物語の主人公として見ていると、ストロベリーティーがこころの心に関わるキーアイテムとミスリードしてしまう可能性があります。
つまりこころにとって、「信頼できる人達が好きなストロベリーティー」という位置づけになるわけです。
かがみの孤城はこころが主人公として描かれますが、実際はリオンやアキの存在感が強く出ています。
観る側が誰の視点で観るかでストロベリーティーへの気づき方も変わってくるでしょう。
万人向けのかがみの孤城
しかしそうは言っても、ストロベリーティーの描写はかなりわかりやすいというか、観る側にネタバレする可能性が高い伏線かと思います。
ミスリードやスルーをするよりは、見抜いてしまう人が多いかもしれません。
特に「君の名は。」を始め時系列を活かした叙述トリックを知っている人にとっては、このストロベリーティーで7人の時代が異なることが一気に読み取れてしまう可能性もあります。
それでもかがみの孤城でストロベリーティーの演出があるのは、かがみの孤城が良い意味で万人向けの親しみやすいテイストの映画だからだと思います。
誰もが知っている童話を題材に万人が理解しやすい伏線やオマージュを取り入れ、玄人でなくても「伏線回収がなされる爽快感と物語自体のメッセージ性で感動できる」作品だと思います。
かがみの孤城はその完成度と表現の工夫から、大人から子供まで楽しめる映画と言えます。
かがみの孤城の伏線一覧