小説および映画「かがみの孤城」に関するページです。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
リオンの母親
リオンの母親は娘(リオンの姉であるミオ)を失くした心の傷により、息子であるリオンとうまく関係を築けなくなってしまいます。
生きて元気なリオンを見ることで、その対比として幼くして死んだ娘の存在を感じないわけにはいかない母。
そんな不安定な心の中で、母親はリオンをサッカー留学の建前で自身から遠ざけます。
視聴者的にはリオンのことだけ見るとずいぶんとひどい母親のように感じますが、闘病する娘に寄り添い、結果娘を失った母親の心の傷は、考えさせられるものもあると思います。
解説
親の支援の重要性
心の傷や悩みを持った中学生に対して、様々な大人が描かれる「かがみの孤城」。
アキの義父など弁護しようのない大人が登場する一方で、こころの母親のように変化していく大人もいます。
不登校のこころに対してはじめはなんとも冷たく理解がなかったこころの母親。
しかし喜多嶋のはたらきかけにより娘を支える非常に信頼できる保護者となります。
個人的に「かがみの孤城」の魅力の1つに、不登校支援に対する「親への支援(指導や助言)」の解像度が高い点があると思います。
不登校や心に傷を持った子供達への支援は、本人だけでなくその保護者への働きかけも重要であると思います。
「かがみの孤城」では喜多嶋がなんどもこころの母親と話したり、母親だけでなく父親とも会ったり、学校とマメに連絡を取ったりと、支援の在り方が丁寧に描かれています。
リオンの母親の愛情
このように考えると、リオンの母親がリオンを遠ざけたのはひどりことではありますが、
娘を失くした親として、リオンの母親も十分な精神的ケアを受けることができなかったのかもしれないとも思います。
リオンの母親は完全にリオンを放置していたかというとそうではなく、クリスマスにはケーキを作りに寄宿舎まで来ています。
ケーキを作ったのに早々に帰ってしまう母親の様子から、母親もリオンに愛情を注ぎたい気持ちとそれをしようとすると娘(ミオ)のことがフラッシュバックしてしまういっぱいいっぱいな状態だったのかもしれません。