漫画「月曜日の友達」に関するページです。
ネタバレも含みますのでご了承ください。
「月曜日の友達」の主題歌
漫画「月曜日の友達」はアニメ化はされていないのですが、主題歌があります。
これは「月曜日の友達」の作者である「阿部共実氏」と、amazarashiが互いにファンであったという背景があります。
いずれにせよ、作MVは「月曜日の友達」の世界観をすごく表わしていて、ある意味で1つのストーリーになっています。
以下、主題歌である「月曜日」の歌詞を見ていきます。
amazarashi「月曜日」の解説
amazarashiの「月曜日」のMVは、漫画本編の絵を交えながら「月曜日の友達」の世界観を表しています。
そのため、漫画の登場人物の心情を補完する意味合いでも楽しめます。
また、曲の終わりには水谷と月野の日常を描く書き下ろしストーリーがあります。
歌詞の解説
体育倉庫のカビたウレタンの匂い
コートラインは僕らを 明確に区分する
渡り廊下で鳩が死んでた いつもより余所行きな 教科書の芥川amazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
「コートライン」という表現で、中学生になった水谷の疎外感を表しています。
支柱に縛られた街路樹 まるで見せしめの磔
好きに枝を伸ばしたいのに 同じ制服窮屈そうに
右向け右で左見て 前ならえで列に背を向け
救いなのだその幼さが 君だけは大人にならないでamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
「君だけは大人にならないで」の「君」は、原作にもある通り月野ですね。
水谷の中学校生活に対する疎外感と、月野に対する思いが歌詞に表れています。
月曜日、蹴飛ばしたら ゴミ箱にも嫌われて 転がって潮風に錆びた
息苦しいのは ここが生きる場所ではないから
僕ら地球外生命かもね
好きなこと好きって言うの こんなに難しかったっけ それならば僕は息を止めて潜るよ
君の胸の内の深さには 遠く遠く及ばないとしてもamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
「ゴミ箱」とは学校や大人になっていく周囲を指しているのかもしれませんね。
周りと違うことからの疎外感を、「地球外生命」と表わし、この表現は原作の2巻でも水谷が言っています。
周りが大人びる中で、以前のように野球や外遊びを友達とできなくなった水谷。
自分が好きなことを言うと「子供っぽい」とからかわれます。
駅ビルのコンコース 待ちぼうけ
ソフトクリーム溶けた 全音符のクラクション
近寄る度 多くを知る 知らないことは多いと 河川から望む学区外amazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
そして2番の歌詞。
雰囲気としては、原作の水谷と月野の夏休みに移行していきます。
明日の話はとにかく嫌い 将来の話はもっと嫌い
「儚いから綺麗」とか言った 花火が永遠ならよかった
見えてるものを見えない振り 知ってることを知らない振り
いつの間にそんなに大人びて笑うようになったのさamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
原作でも水谷と月野は花火をしました。
月曜日、蹴飛ばしたら 川の水面で水切り 満月を真っ二つ切り裂いた
胸が苦しいのは 互いに思うことが伝わるから
僕ら超能力者かもね
嫌なこと嫌って言うの そんなに自分勝手かな それならば僕は息を止めて潜るよ
君の胸の内の深さには 遠く遠く及ばないとしてもamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
「超能力者」という言葉が本編とかかってますね。
「互いに思うことが伝わる」としつつも、やはり「君の胸の内の深さには 遠く遠く及ばない」と人と人との関係の難しさが表現されています。
普通にも当たり前にもなれなかった僕らは せめて特別な人間になりたかった
特別な人間にもなれなかった僕らは せめて認め合う人間が必要だった
それが君で おそらく僕で ゴミ箱にだって あぶれた僕らで
僕にとって君は とっくの昔に 特別になってしまったんだよamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
周りと合わせられず、自分は「普通」になれない、けれど大きな才能もなく「ちょっと変なだけ」と感じていた月野。
月野は「普通」になれないから、「変な人」ではなく超能力により「特別な人」になりたいと思います。
しかし心の葛藤を共有できる水谷という「友達」ができたことで、「特別」に「すがる」ことをやめます。
歌詞にある「ゴミ箱」とはおそらく月野が言う自分が住む小さな町やその中にある学校を指しているのでしょう。
小さな集団にあぶれた自分達。
「特別」をやめたはずの月野ですが、水谷と仲を深めていくうちに、
図らずしも水谷にとって月野は特別な存在になります。
月曜日、蹴飛ばしたら 大気圏で焼け落ちて 僕の胸に空いたクレーター
確かに似た者同士だったけれど
僕ら同じ人間ではないもんな
一番怖いのはさよなら それなら約束しよう 永遠に別れはないと
永遠なんてないと知って誓ったそれが 愛や友情には 遠く及ばないとしてもamazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌 (YouTube)より引用
月曜日の夜の学校で会う約束をやめた月野と水谷。
以前より多くの接する時間が増え、互いの将来に対する思いやいろんな価値観がわかっていきます。
接する中で、互いが似ているけれど違う部分もあるんだとわかります。
そして、
大人になっていく中で、その価値観の違いの中で緩やかに2人の距離は離れていくことを互いに察します。
だからこそ「ずっと友達」と約束しますが、人は変わっていく生き物なので、その価値感すらいつかは緩やかに変化していくことも互いにわかっているのでしょう。
おわりに
中学生という感受性が強く、その後の人生ではおそらく二度と経験しないであろう時期を描いた「月曜日の友達」とその主題歌「月曜日」。
最後の歌詞の「永遠なんてないと知って誓った」という、永遠がないとわかりつつもそれを願う切なさが、この作品の味わいを表しているように思えます。
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