小説および映画「かがみの孤城」に関するページです。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
オオカミさまの最後の言葉
孤城での出来事(および姉との日々)を忘れたくないというリオンの願いに対して、オオカミさまことリオンの姉ミオは、「善処する」という言葉を口にします。
この「善処する」の具体的な内容は描かれないため視聴者の想像にゆだねられますが、文脈を察するに、リオン達に孤城での記憶が(言葉にならない形で)淡く残っているのではないかと考えられます。
解説
願い事と記憶
孤城で願い事を叶えると、一同から孤城での記憶が消えてしまうことは(他のルールよりは遅れてではあったものの)事前にオオカミさまから言及されていました。
そして別れの日。
リオンの願いに対してオオカミさまも感情が伴いそれを必死に飲み込むような様子で「善処する」と言います。
孤城ができた経緯やミオがどのようにしてどのような力で「オオカミさま」になったのかは描かれない「かがみの孤城」という作品。
作品のご都合主義と言えばそれまでですが、孤城の世界においてオオカミさまが全てにおいて万能かと言えばそうでない様子は端々から読み取れます。
孤城を作る上でオオカミさまよりさらに上位の存在(神様のようなもの)がいるのか、それともオオカミさま自身に秩序のようなものが強くあるのかは不明ですが、
少なくともオオカミさま(ミオ)にとって記憶を消さないという行為は簡単にはできない行為であったことが読み取れます。
孤城での記憶
ラストの通学路でのこころとリオンの再会や、入場者特典のイラストで描かれる登場人物達のエピローグ。
これらのシーンから一同の孤城での記憶は消えているかもしれないけれど、まったく残っていないかと言えばそれも微妙な印象を受けます。
孤城での記憶を言語化することはできなくても、例えばお互いが再会したときに妙に惹かれ合う何か感覚的なものがある。
各シーンの一同の視線などを見ると、そのような解釈ができる気もします。
あくまで作品の解釈の1つでしかありませんが、
「記憶が消える」という絶対的なルールは変更できなかったものの、オオカミさま(ミオ)が善処した結果、その「記憶」から得た「感情」や「精神的成長」は残ったと言えるのではないでしょうか。
もしもミオがそういった良い意味での屁理屈・言葉遊び(「記憶」は消えても「思い」は消さないで)をやったと思うと、なかなか熱い展開だと思います。
かがみの孤城のエピローグ(入場者特典のイラスト)
かがみの孤城の伏線一覧