アニメ「鋼の錬金術師」について一部ネタバレも含みますのでご了承ください。
スロウスの1期と2期の違い
「怠惰」の名を冠するホムンクルスである「スロウス」は、1期と2期でまったく異なる人物です。
アニメオリジナル展開の1期ではトリシャをベースにしたホムンクルスであり、一派の中でも戦略家としての立ち位置で評価されます。
原作準拠の2期では「めんどくせぇ」が口癖の大男のホムンクルスで、1期とは対照的に戦略性はほぼなく単純労働(国土錬成陣の地下トンネル作り)に徹しています。
解説
設定の違い
アニメオリジナル展開の1期では、ホムンクルスは「人体錬成で生まれた不完全な人間が賢者の石を取り込むことで生まれる」という設定です。
1期のスロウスはエド達の母親であるトリシャをベースにしたホムンクルスです。
自分の身体を液状化し物理攻撃を無力化できるという、戦闘においてかなり有利な能力を持っています。
しかも戦略方面も得意で、自分の手を汚さないという意味で「怠惰」の「スロウス」と言えます。
2期のスロウスはもっとわかりやすく、「怠惰」の名前通りなんでもめんどくさがる気力と主体性のない人格の大男です。
こちらは常人離れした怪力と、銃弾もはじく堅い皮膚、そして「最速のホムンクルス」と言われる高速移動が可能です。
このように、見た目も中身も全く異なる1期と2期のスロウスですが、能力的にかなり恵まれているという点は共通と言えます。
本編での活躍や出番の違い
1期のスロウスはトリシャをベースにしたホムンクルスであるため、エド達は自分達が犯した罪(人体錬成)によって母親に似た容姿の敵と戦うという辛い展開となります。
ラストと同様にスロウスも人間の頃の記憶で葛藤し、それがさらに物語をダークな展開にします。
このように1期のスロウスはエド達や物語のテーマに関わる非常に示唆のあるキャラクターと言えます。
一方で、2期のスロウスは良くも悪くも「怠惰」を具現化したキャラクターに振り切っており、1期ほどの教訓は含んでいないように思えます。
国土錬成陣の地下トンネルを掘るという重要な役割は果たしたものの、いかんせん地味で他のホムンクルスと比べると見せ場は少ない印象を受けます。
結末の違い
1期のラースは母性を求めたラースに足を引っ張られる形で窮地に立ち、エドに倒されます。
1期は何かとエドを精神的に追い詰める展開が多いですが、スロウスとの戦闘もその1つと言えるでしょう。
自分がやった人体錬成で生まれは母親似のホムンクルスを殺すために、母の遺骨を墓から掘り起こすというのは本当に鬱展開だなぁと思います。
2期のラースはオリヴィエおよびアレックス、そしてイズミ達の奮闘で賢者の石を消耗して死亡します。
最後は生きることもめんどくさがる、「怠惰」のホムンクルスらしい死を迎えます。
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参考資料
『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST STORY』(TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト)2021年7月25日検索