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エドの銀時計の文字の意味
エドの銀時計の蓋の裏には、「Don’t forget 3.oct.11」という文字が刻まれています。
これはエドが戒めとして自ら行ったものであり、元の身体に戻るために家を焼き払って旅に出た日を指しています。
解説
国家錬金術師における銀時計
ハガレンにてエドが持っている銀時計は、国家錬金術師の証として軍が支給する物です。
銀時計のデザインや役割は他の国家錬金術師の物と変わりません。
銀時計は国家錬金術師の証であり、身分証明として機能します。
ダリウスがエドの代理として銀行口座から研究費の引き出しを行う際も、銀時計が代理証明として活躍します。
銀時計の文字
通常、銀時計の蓋の裏にはなんの文字も書いていませんが、エドは自身の銀時計に文字を彫っています。
「Don’t forget 3.oct.11」は「10月3日を忘れない」というエドの決意の表れでもあり戒めでもあります。
10月3日はエドとアルが自身らの家を焼き払い、旅に出た日です。
元の身体に戻るまで旅を続けることや、そのために軍の犬になること、決して元の身体に戻ることを諦めないことの決意が読み取れます。
また、自身の身体が失われているという、目標を忘れるわけがない状況であるにも関わらず、さらに文字を刻んで決意を固めています。
どんなに大きな出来事があっても、当時の気持ちを持ち続けることは難しいこと、人の意思が揺らぎやすいことをエドは自覚しています。
ホーエンハイムの指摘
オートメイルのリハビリをこなし、非常に難関な国家錬金術師の試験に合格し、エドは非常にメンタルが強い印象を受けます。
家を焼き払い銀時計に文字を刻んだ様子からも、男らしい覚悟がうかがえます。
しかしながらもう少し俯瞰して見ると、そういった状況設定をすることにエドの年相応の幼さ・弱さが見えなくもありません。
リゼンブールに戻ってきたホーエンハイムは、自ら家を焼き払ったエドに対して「逃げたな」と評します。
帰る場所であった家は自身の過ちの証拠でもあり、それを焼き払うことは見たくないものを見なくて済む行為でもあります。
そう考えると、エドの「覚悟」は辛い現実を直視しない逃げとも言えます。
ホーエンハイムはトリシャ達をおいて旅立つとき、決意が揺らぐためにエド達に別れを言わず旅立とうとしました。
そんなホーエンハイムだからこそ、息子の意思の弱さを見抜くことができたのかもしれません。
本編
参考資料
『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST STORY』(TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト)2021年7月25日検索