「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」に関してネタバレ含みますのでご了承ください。
ラクガキングダムのもう一人の主人公
ラクガキングダムはユウマ視点で見るとまた違ったおもしろさがあり興味深い作品です。
ミラクルクレヨンに選ばれた特別な存在であるしんちゃんに対し、あくまで「普通」の子供であるユウマ。
ラクガキングダムは随所にユウマとしんちゃんを対照的に描くシーンがあってその演出が作品に深みを与えていると思います。
解説
ラクガキングダムのユウマと姫
「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」は言わずもがなしんちゃんが主人公の映画作品です。
クレしん映画は毎回ヒロインとしてゲストキャラクターが登場し、このヒロインと主人公であるしんちゃんとの関りが物語のポイントになることが多いです。
ヘンダーランドの「トッペマ・マペット」、ブタのヒヅメの「おいろけ」、カスカベボーイズの「椿ちゃん」などは比較的ヒロインが活躍する作品と言えます。
一方で、ゲストキャラではなく野原一家やカスカベ防衛隊など既存のキャラをメインに構成される作品もあります。
オトナ帝国やヤキニクロードなどです。
こういったクレしん映画の作風の中、ヒロインではないゲストキャラであるユウマが活躍するラクガキングダムは比較的珍しい作風と言えます。
特にラクガキングダムはヒロインである姫の出番がそこまで多くないです。
ラクガキングダムのゲストキャラの使い方は、初代映画であるハイグレ魔王と通ずるものがあります。
このようにシリーズ28作目であるラクガキングダムは、どこか原点回帰な演出がある作風となっています。
ラクガキングダムにおけるしんちゃんとユウマの対比
ラクガキングダムは随所にユウマとしんちゃんを対照的に描くシーンがあります。
まずわかりやすいのがタブレットを持つユウマとミラクルクレヨンを持つしんちゃん。
これは二人をデジタルとアナログの象徴として描いている節があります。
子供達がゲームやタブレットに夢中でラクガキをしなくなったということを発端とする本作。
ラクガキングダムという作品にとってデジタルとアナログという概念はメッセージの1つだと思います。
さらにユウマとしんちゃんは作中で単独行動と集団行動が互い違いになるように演出されています。
何かと破天荒な行動をするしんちゃんに最初は振り回されるユウマ。
しかししんちゃんが家族や友達と合流し集団行動に入ると今度はユウマが母親を助けるために単独行動になっていきます。
さらに物語は進み、今度はしんちゃんが自由奔放に街に大きなぶりぶりざえもんのラクガキ。この際はユウマが放送で住人達に声を届け一丸となることを促します。
また性格についてもあっけらかんとし社交的なしんちゃんに対し、どこか内気な様子もあるしんちゃん。
ミラクルクレヨンに選ばれたしんちゃんに対し、平凡な男の子であるユウマ。
本作でヒロインである姫と行動を共にすることが多かったのはしんちゃんではなくユウマである点も、ユウマをもう一人の主人公として見ることができる演出かと思います。