「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」に関してネタバレ含みますのでご了承ください。
ニセななこは泣ける
「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」は全体的に感動できるポイントが多い作品ですが、
ニセななこのくだりは展開としては王道ですが非常に感動します。
ニセななこ自身の言動は一貫していますが、ニセななこに対するしんちゃんの接し方は変化していきます。
その過程が丁寧に描かれており、それを踏まえてのクライマックスのニセななこは感動ものです。
解説や考察
ニセななこに対するしんちゃんの変化
自身の画力のなさにより思った見た目とは異なったニセななこ。
これに対ししんちゃんは初めは言い寄られても逃げてしまいます。
しかし、常にしんちゃんのことを思って行動するニセななこに対し、次第にしんちゃんも心を許していきます。
膝枕で寝たり抱えられたりするしんちゃん。
そして、みんなでびわを食べる際に一人黙々とみんなのために皮をむくニセななこ。
そんなニセななこにしんちゃんは自分からびわをあげます。
そして物語終盤。
濡れれば消滅してしまうとわかっていながら、しんちゃんを助けるために雨の中を走るニセななこ。
結果としてしんちゃんは助かりますが、ニセななこは消滅してしまいます。
最後まで献身的だったニセななこの消滅にしんちゃんは深く傷つきます。
しんちゃんとニセななこの考察
ニセななこ・ブリーフ・ぶりぶりざえもんを見ると、ミラクルクレヨンで書いて実体化した者は、見た目だけでなく内面もしんちゃんの想像が反映されていることが明らかです。
「しんちゃん好きよ」しかしゃべることができず、一貫して献身的なニセななこは他の2人と比べるとやや異質な印象も受けます。
しかし、このニセななこの言動は、しんちゃんの(本物の)ななこに対する認識をうまく表していると思います。
5歳児でありながら大学生のななこと対等に関係を築けていると思っているしんちゃんは、やはり「ななこ」という年上の女性を狭い視野でしか見ることができていません。
ななこが5歳児のしんちゃんに「合わせてくれている」ということをしんちゃんは気づけていないわけですね。
そんなしんちゃんが実体化させたニセななこは、「しんちゃん好きよ」という端的な言葉と、献身的という1つの側面しか反映できていないなんとも不自然な存在となっています。
しかし、しんちゃんのななこに対する認識も似たようなものであり、ニセななこを通してしんちゃんの年相応に未熟なななこに対する認識の仕方がわかります。