ノヴァク「私はこの物語の悪役だったんだ」|チ。-地球の運動について- 第23話



ノヴァクと幻のラファウとの会話

 まったく予想外だったが、私は……
 私はこの物語の、悪役だったんだ……
 くっそ……
 まったく驚きだ。

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 幻ではありますが、ラファウの再登場である第23話。

 ノヴァクの「悪役だったんだ」というメタ的にも取ることができる発言は非常に印象的です。

 また、ラファウの「同じ時代を作った仲間」という発言は、本作における主要なメッセージの1つだと思います。



解説

ノヴァクの前に現れるラファウ

 この世には様々な人がいる。
 正直者も、嘘つきも、情けない奴も、勇敢な奴も。
 さらに驚きなのが、1人の人間にその全ての要素が入ってることもあるし、それらが日々、変化したりもする。
 こんなに大勢いるのに誰1人、同じ人はいない。
 そりゃあ、争いは絶えないでしょう。
 でも、だけどです。
 過去や未来、長い時間を隔てたあとの彼らから見れば、今いる僕らはしょせん、皆押しなべて、15世紀の人だ。
 僕らは気づいたらこの時代にいた。
 別の時代でもよかったのにこの時代だった。
 それは、ただの偶然に過ぎないけど、奇跡的であり、運命的なことだ。
 僕は同じ思想に生まれるよりも、同じ時代に生まれるこのほうが、よっぽど近いと思う。
 だから、絶対そんなわけないと思いつつも、感情と理屈に拒絶されようとも、こう信じたい。
 今、たまたまここに生きた全員は、たとえ殺し合うほど憎んでも、同じ時代を作った仲間な気がする。

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 燃える教会の中で死を悟るノヴァクと、その眼前に現れる(ノヴァクの幻である)ラファウ。

 「でも、だけどです」といった逆説を強調する言い方は、本作およびラファウらしい表現だなと思います。

 自分が悪役だったと悟った後、その悪役も「仲間」なのだと解釈するラファウは、やはりノヴァクにとって「都合のいい幻」なのだなと思います。


ラファウの処刑を振り返るノヴァク

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 私は……
 私は本当は君に思ってたことがあるんだ。
 しかしそれは、君ら異端には感じてはいけない感覚だ。
 だから忘れたふりをして生きてきた。

 痛みだ。
 あのとき君の選択を見て気の毒に思った。
 死を選ぶな。
 自分の信念や他人の信仰に殺されるには若すぎる。
 そう思った。

 ああ……
 あれは神から与えられた、最初で最後の機会だったのかもしれない。
 でもその感情をめんどくさがって無視したんだ。
 だからやっぱり私は、悪役なんだ……

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 第3話にて死を選んだラファウに非常に動揺していたノヴァク。

 やはりラファウとの一件は、ノヴァクの人生において非常に印象深く衝撃的だった様子。

 本来はラファウの死に心を痛めていたノヴァク。
 それを見ないようにしてきた代償が、この結末であるとノヴァクは考えます。



第23話の名言

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参考資料

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