ラファウとノヴァクの最後の会話
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たぶん、感動は、寿命の長さより大切なものだと思う。
だからこの場は、僕の命に代えてでも、この感動を生き残らせる。チ。 ―地球の運動について― 第3話 僕は、地動説を信じてます(ABEMA)より引用
地動説の存在を肯定し、拷問が決まったラファウ。
その前夜、獄中にてノヴァクと話します。
ラファウの最期であり、本作の象徴的なシーンの1つであり、第1章の締めとも言えるラファウとノヴァクの会話(第3話)。
本作における名シーン・名言の1つだと思います。
解説
取り乱すノヴァク
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ラファウ「敵は手強いですよ。
あなた方が相手にしてるのは、僕じゃない。
異端者でもない。
ある種の想像力であり、好奇心であり、畢竟、それは知性だ」ノヴァク「知性?」
ラファウ「それは流行り病のように増殖する。
宿主さえ、制御不能だ。
一組織が手名付けられるほど、可愛げのあるものじゃない」ノヴァク「では、勝つのは君か?
この選択は、君の未来にとって正解だと思うのか?」ラファウ「そりゃ不正解でしょ。
でも不正解は、無意味を意味しません。
ところで、けしの実の効果を知ってますか?」ノヴァク「けしの実? いや……」
ラファウ「古くは、アテナイなんかで使われてたようですが、それと毒物を混ぜると、まぁ簡単に言うと、苦しまずに死ねる。
で、さっきそれをコップに入れました。」ラファウ「そっちにじゃありませんよ。
飲んだのは、僕です」ノヴァク「嘘だろ? お前、頭おかしいぞ。死ぬのか?」
ラファウ「まぁ」
ノヴァク「まぁじゃないだろ!!
それに、その選択は教えに反してる。
どこまで協会をコケにするんだ!
死の先に恐ろしい運命が待ってるぞ!」チ。 ―地球の運動について― 第3話 僕は、地動説を信じてます(ABEMA)より引用
第3話、投獄前からすでにけしの実の小袋を身に付けていた様子が描かれていたラファウ。
万が一の展開を想定していたことがうかがえます。
そして獄中にて服用。
拷問前に自ら命を絶つ選択をします。
全話通しても珍しい、ノヴァクが声を荒げ取り乱すシーン。
ラファウに対する思い入れもうかがえます。
感動を残すラファウ
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ラファウ「死の先なんか誰も知りませんよ。
ソクラテスいわく、誰も死を味わってないのに、誰もが最大の悪であるかのように決めつける。
エピクロスいわく、我々のあるところに死はない。死のあるところに我々はない。
セネカいわく、生は、適切に活用すれば、十分に長い。
僕は、その全てに賛成です」ノヴァク「そ、そんなの、二千年近くも前の、愚かな異教徒の言葉だろ!
奴らには絶対神も救いもない!
そんな言葉が何になる!?」ラファウ「感動できる。
フベルトさんは死んで消えた。
でも、あの人のくれた感動は今も消えない。
たぶん、感動は、寿命の長さより大切なものだと思う。
だからこの場は、僕の命に代えてでも、この感動を生き残らせる」ノヴァク「正気じゃない。わけもわからんものに熱中して命すら投げる。
そんな状態を、狂気だとは思わないのか?」ラファウ「確かに。
でもそんなの、愛とも言えそうです」チ。 ―地球の運動について― 第3話 僕は、地動説を信じてます(ABEMA)より引用
死後の世界はないという、現代人の思想にも通ずる考えを口にするラファウ。
「そんな言葉が何になる!?」と声を荒げるノヴァクに対し、「感動できる」と一蹴するラファウのシーンは覚悟と信念がうかがえ圧倒されます。
第3話の名言