ノヴァク「金さえ稼げれば全て肯定される。君はそんな時代がいいと思うのか?」|チ。-地球の運動について- 第23話



ドゥラカとノヴァクの会話

 でも私は、私を裏切った恩人から言われたことがある。
 神なしの世界で考えろって。

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 第3章の到達点とも言える、第23話のドゥラカとノヴァクの会話。

 互いの考え・信念を話す、2人の最初で最後の対話となります。

 またドゥラカの叔父であるドゥルーヴを「私を裏切った恩人」と最後までドゥラカが「恩人」と考えている点はなかなか熱い展開。



解説

神を捨て技術を進歩させる世界を危惧するノヴァク

 神を捨て金か……
 金さえ稼げれば全て肯定される。
 君はそんな時代がいいと思うのか?

(中略)

 知性や技術が進歩した先は、あの爆発だ。
 文明や理性の名の下では、神の名の下とは比べものにならない規模の大虐殺が起こせる。
 わかるか?
 神に進むべき道を与えられなくなった人間の末路が。
 神を失ったら、人は迷い続ける。

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 現代(あるいは近代)のことを表しすぎていて、逆に視聴者目線では風刺にも思える第23話のドゥラカとノヴァクの会話。

 信仰を失くし技術や効率だけを追求することに否定的な立場を取るノヴァク。

 第3章においてドゥラカは時代を変化させようとする主人公。ノヴァクはそれを阻む悪役的なポジションなわけですが、ノヴァクの言い分も正しいというか実際に世界はそうなっているなぁと思います。


神なしの世界に覚悟を決めるドゥラカ

ドゥラカ「私だって、これから平和が訪れるとは思わない。
 あなたの言う通り、次に来るのは大量死の時代かもしれない。
 でも、その死の責任は神じゃなくて、人が引き受ける。
 だから、そこにはきっと罪と救いじゃなく、反省と自立がある。
 そうやって、苦しみを味わった知性は、いずれ十分迷うことのできる知性になる。
 暴走した文明に歯止めをかけて、異常な技術も乗りこなせる知性になる」

ノヴァク「呆れるほど楽観的だ」

ドゥラカ「ええ。
 でも私は、私を裏切った恩人から言われたことがある。
 神なしの世界で考えろって。
 私は、それで道が開けるって信じたい。
 それに、あなたは最も重要なことを忘れてる。
 きっと……
 きっと社会から神が消えても、人の魂から神は消せない」

チ。 ―地球の運動について― 第23話 同じ時代を作った仲間(ABEMA)より引用

 次の時代の危険性を説くノヴァクに対し、そんな時代の中での試行錯誤を望むドゥラカ。

 ノヴァクの言う通りドゥラカの言い分は「楽観的」な思いであり、どちらの理屈が地に足付いているかと言えばやっぱりノヴァクかなと思います。

 それでも、可能性を追求するドゥラカの姿勢は、個人的には魅力的にも映ります。

 ドゥラカの「金を稼ぐ」という信念が、「十分迷うことのできる知性」を獲得するというロマンにもつながっている点が興味深いです。

 ヨレンタらと接する中で、ドゥラカもまた「感動」を重んじる立場となっている気がします。

 また「人の魂から神は消せない」など、無神論者であったドゥラカの考え方にも変化がうかがえます。



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参考資料

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