小説および映画「かがみの孤城」に関するページです。
ネタバレを含みますのでご了承ください。
こころの夢と転入生
こころが映画の冒頭で転入生の存在を夢見るくだりは、ラストシーンである「リオンとの再会」を示唆する伏線と言えます。
しかしながら、物語序盤では「転入生キャラ」としては「東条萌」が印象的ではないでしょうか。
このため観る人によっては、冒頭の「こころが期待する転入生」が「東条萌」のことを指しているとミスリードする人もいるかもしれません。
冒頭ですでにラストの展開を示しつつも、カモフラージュの演出もあるおもしろい見せ方だなと思います。
解説
転入生に期待するこころ
たとえば、夢見るときがある。
転入生がやってくる。
その子は何でもできる素敵な子。
たくさんいるクラスメイトの中に、私が居ることに気づいて、おひさまみたいな、眩しい微笑みを浮かべ、「こころちゃん、久しぶり」って、まっすぐ近寄ってくる。
みんな息をのむ。
そんな奇跡が起きたらいいと、ずっと願ってる。
そんな奇跡が起きないことは、知っている。映画『かがみの孤城』より引用
物語を通して見た後だと、こころのこの願望は孤城の記憶が消えてもその日々が淡い感覚として残っている証拠なのかなと思います。
自分を理解してくれる「初対面の転入生」ではなく、「再会」を無意識に願っているこころ。
ちなみにこころのこのセリフだけだと、転入生は「男子」なのか「女子」なのか判別できないような言い回しになっています。
メタ的にはこれにより東条萌のことを言っているようにも見え、リオンのネタバレを防いでいると個人的には思います。
そんな奇跡
冒頭では「そんな奇跡が起きないことは知っている」と、奇跡に対して悲観的なこころ。
この「そんな奇跡」というワードがエピローグで回収されるのも「かがみの孤城」という作品の熱いところだと思います。
かがみの孤城は映画入場者特典としてポストカードが配布されました。
このポストカードは複数枚あり、それぞれ登場人物達の「その後」が描かれています。
そして孤城のメンバーが現実世界で再会する感動的なポストカードのタイトルが「そんな奇跡は、ちゃんと起きた」。
親しくなったこころとリオンを中心に、(偶然ではありますが)同じ場所に揃った孤城のメンバー。
まさに「そんな奇跡」が「ちゃんと起きた」ことを示す展開と言えます。
かがみの孤城の伏線一覧