「GRIDMAN UNIVERSE」シリーズのネタバレを含みますのでご了承ください。
映画(グリッドマンユニバース)での暦
映画「グリッドマンユニバース」にて再び無職となっていた暦。
長年のニート生活から抜け出すことはそう簡単ではないようで、このあたりの現実的な描写も「GRIDMAN UNIVERSE」作品のおもしろいところだと思います。
「SSSS.DYNAZENON」において主要人物でありながらも「一般人」で「現実的」な境遇を歩む暦は、「SSSS.GRIDMAN」における内海ポジションと重なる部分があると個人的には思います。
解説
映画での暦の活躍
裕太の自宅の風呂場での登場がギャグ的に印象的だった暦。
その後六花の自宅にて一同がそろった際に再び無職になっていることが判明します。
「SSSS.GRIDMAN」と「SSSS.DYNAZENON」のクロスオーバー作品である「グリッドマンユニバース」。
登場人物が多いにもかかわらずそれぞれの出番しっかり消化した良作と思いますが、比べてしまえば影が薄かった印象もある暦。
レックスとして生まれ変わったガウマ。
怪獣を操る蓬。
恋愛体質で雰囲気がずいぶん変わった点がおもしろい夢芽。
ビッグゴルドバーンを生み出すきっかけとなったちせ。
ダイナゼノンメンバーの中では良くも悪くも暦らしい「パッとしない」立ち回りとなっています。
ただ、そのパッとしなささ自体が暦の持ち味とも言えます。
裕太達の世界に来ることで学校に通えなくなった蓬達は(ちせも含め)裕太達の学校に出入りするようになります。
一方で年長者である暦は新世紀中学生(ガウマ含む)や六花ママ、と行動することになります。
これが結果として裕太・蓬視点のシーンで暦の出番が激減することにつながるわけですが、逆に言うとダイナゼノンの登場人物が分散し(「蓬・夢芽・ちせ」「ガウマ・暦」)より自然な構成となっているとも言えます。
暦の立ち位置
戦いが終わった後、再び自分を使ってほしいような言い方をガウマ達にした暦。
さらっと流されたこのやりとりですが、この一言に暦自身の「非日常」をどこかで求めている姿勢が読み取れます。
ダイナストライカーで活躍する暦ですが、それは「選ばれた」のではなく「偶然」でしかないことは、アニメ最終話にて暦自身が言及しています。
またダイナゼノンでの戦いを通して就職し自分を変えるなどの「ドラマ」がありながらも、結局は無職に戻った暦。
非日常な戦いの中でもあくまで「一般人」の域を出ない立ち位置は、あくまで裕太の「友達」であった内海と通ずるものがあるなと思います。
誰しもが特別な力や特別な立ち位置での見せ場があるわけでなく、あくまで最後まで「一般人」として物語に居合わせる人物がいることは、作品の深みを出してくれると思います。
そのように考えると、映画「グリッドマンユニバース」における暦の「ちょっと出番が少なかった感」も作品全体で見ると大切な塩梅であった気がします。
参考資料