クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者
「激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」は、シリーズ全体を通しても、かなりおもしろいほうの作品だと思います。
クレヨンしんちゃん映画の最高傑作とよく言われる「オトナ帝国」や「戦国大合戦」には及ばないものの、充分に大人も楽しめるクオリティだと思います。
具体的には「オトナ帝国」や「戦国大合戦」を最高峰のAグループとするならば、次点の良作である「ヘンダーランド」「ブタのヒヅメ」「カスカベボーイズ」などが属するBグループに該当するおもしろさではと思います。さらに言うとそのBグループの中でもトップ勢だと思います。
どちらかというと感動寄りではありますがギャグとのバランスもいい作風であり、また作品を通してのメッセージ性が巧みであるなぁと感じます。
解説
世界観とバランス感
クレしん映画を何本か(特に古い物と新しい物)見た人なら、
「ラクガキングダム」はギャグや感動、世界観などのバランスが妙に良い作品だなぁと感じるのではと思います。
これは初代のクレしん映画に通じるものがあります。
それもそのはずで、
「ラクガキングダム」は原作を元にした映画であると同時に、初代映画である「ハイグレ魔王」の構成を意識した作品となっています。
このため、「ラクガキングダム」はある意味で原点回帰の作品であり、クレしん映画の王道の魅力をしっかり反映した作品となっています。
メッセージ性の巧みさ
子供達のラクガキをエネルギーとして栄えるラクガキングダム。
昨今の携帯ゲームやタブレットの影響で、このエネルギーは不足し始めたことが物語のきっかけとなります。
「ラクガキングダム」はデジタルとアナログの在り方をテーマにしていると推測できますが、このテーマに対する結末のメッセージ性は巧みだと思います。
ネタバレになるので細かくは避けますが、最終的にはデジタルとアナログの双方の魅力を作品の中に落とし込むかたちで物語は幕を閉じます。
この「デジタル・アナログ」のテーマのキーになるのがゲストキャラクターのユウマであり、伏線の回収が見事だなぁと思います。